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シクロデキストリンと消臭剤

2016-01-05 10:23:17 | 化学
シクロデキストリンという名前を知っている人は少ないと思いますが、割と身近な化合物で天然物です。

これはグルコースが5個から8個程度つながり、環状となった化合物です。糖がつながったものですので、当然水溶性ですが、環の内部は炭素鎖でできていますので、疎水性の環境になっているという面白い化合物です。この糖の個数によってアルファ(6個)からガンマ(8個)まで付けて区別をしています。

性質としてはアルカリには非常に強く、酸にもかなり安定です。熱にも強く200℃程度まで加熱しても壊れないとされています。こういった化合物がなぜ天然に存在しているのかや、その役割もよくわかっていませんが、でんぷんを微生物に反応させる工業的製造法もできています。
私の分野では、包摂化合物として知られ、疎水性の物質を環の内側に閉じ込め水に溶かしたり、様々な反応に用いています。またシクロデキストリンは光学活性な化合物ですので、詳細は略しますが光学異性体を分析したり、分離するためのカラムの担体としても使用されています。

身近なものへの利用としては、この環状内に分子を閉じ込める性質を利用し、消臭剤には大体入っています。最近この消臭剤が非常にはやっているようで、ドラッグストアなどに行くと非常に多くの種類の消臭剤が並んでいます。私の家でも猫の色々な臭いを取るため、よくテレビで宣伝している消臭剤を使っています。消臭剤はもちろん薬の類ではなく、口に入れるものでもありませんので、成分表示はなく天然消臭剤とか記載されているだけですので、何が入っているのかはよくわかりません。

消臭剤をなぜにおいが消えるかをメカニズムで分類してみます。まず化学的消臭法で、臭いのもととなる物質を反応させて臭いのないものに変換する方法で、ほとんどが酸化剤による酸化で消しています。この方法は特定な臭い物質には有効ですが、複数の物質には当然応用できないという欠点があります。次が物理的消臭法で、臭い物質を吸着したり、包み込んだりして臭いを消す方法で、冷蔵庫などに入れる活性炭や、ここで述べたシクロデキストリンなどが使われます。たぶんこれが最もよく使われる方法です。

次が生物的消臭法で、生ごみなどの微生物による悪臭を出さないよう殺菌剤を使ったり、微生物が他の微生物を殺す性質を利用して、微生物を散布することもあるようです。現在の消臭剤は大体除菌というような言葉が入っていますので、殺菌剤は大体入っているようです。最後が感覚的消臭法で、良いにおいを出すことによって悪臭を感じないようにするもので、これも大部分の消臭剤には入っているようです。こういった要素を考えながら、たぶんすべての方法を組み合わせたものが消臭剤となっています。

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