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糸状菌や放線菌など人類と菌類の関係

2024-03-30 10:35:38 | 自然
最近紅麹のサプリメントによる健康被害が大きく取りあげられています。

この原因はまだはっきりしていないようですが、紅麹は糸状菌ですので、突然変異で有害物質を作ってしまう可能性はあるような気もします。

こういった菌類と人類の関係はうまく利用していると言えるような気がします。まず大きな発見はペニシリンなどの抗生物質でしょう。ペニシリンは、パンなどに繁殖するアオカビ(糸状菌)が作り出す物質で強い抗菌作用があります。

このように微生物が作り出す抗生物質は、多くの医薬品のもとになっています。特に結核に対しては、1943年に放線菌が作り出すストレプトマイシンが発見されたことで、多くの結核患者の命が救われることになりました。

またカビの糸状菌は、衣類や建物に生育して汚染することから嫌われていますが、洋の東西を問わず古くから味噌、醤油、チーズなどの発酵食品を作る際に活用されてきました。発酵過程から得られる多種多様なアミノ酸や酵素が、医薬品や健康食品などに使われるようになっています。

逆に人類にとって有害なものが、糸状菌が二次的に作り出すカビ毒(マイコトキシン、真菌毒)で、これは数百種類もあり厚生労働省はその主なものに規制値を設定しています。こういった抗生物質やカビ毒を何故作るかはいろいろと考察されています。

ひとつには抗生物質を作ると他の菌類を殺すことができるため、自身の繁栄に有利という説もあります。しかしこれは結果論であり、単に突然変異によって作り出されていると思われます。突然変異はその名の通り偶然の変異であり、目的を持った変異はあり得ません。

その菌にとって必要な生体物質を作り出す酵素遺伝子に変異が起こり、若干変わってできたものが抗生物質でありカビ毒となったにすぎないと思っています。

さて最初の紅麹菌は、発酵すると二次的にカビ毒のシトリニンを作り出すことが知られているようです。日本を含むアジア諸国で食品の着色料や肉の保存、発酵食品などに活用され、最近ではコレステロール値を下げる機能があることでサプリメントなどにも使われるようになっています。

シトリニンは加熱しても毒素は亡くならないため、これまでも健康被害が多く起き、その制御が問題になっているようです。

今回の紅麹の死亡を含む健康被害が、この物質によるものかは分かっていませんが(たぶん違うような気がします)、所詮自然の微生物製剤ですので、予想外の現象が起きてもおかしくないような気がします。

人類はカビや放線菌を使い活用してきましたが、これらの菌類が作り出す物質にはメリットとデメリットがあることを認識しておく必要がありそうです。


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