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糖尿病治療薬が待望の減量薬となるか

2023-06-21 10:37:44 | 
肥満が色々な病気の原因になると思っていますが、肥満の60%以上は遺伝的なものであるという説もあり、減量は非常に難しい問題のようです。

肥満は単に食生活の偏りや運動不足の結果ではなく、体が必要とするよりも多くカロリーを摂取してしまう病気という認識が正しいようです。

つまり何らかの理由で脳が飢餓状態だと思い込み、飢餓のときにすべきことをしてしまう結果、エネルギーを脂肪として蓄え食欲が増進するためです。そこで薬物療法がダイエットなどの行動介入よりはるかに大きな成果を上げるということになります。

「GLP-1受容体作動薬」と呼ばれる新たな薬は、元々2型糖尿病患者の血糖値を管理するために開発されましたが、体重を減らすことにも大きな効果を示すことが分かりました。こうした薬は米国では2010年に初めて糖尿病薬として承認され、この10年間でよく知られるようになりました。

とくに有名な「セマグルチド」があり、最近では「マンジャロ」という薬が日本でも販売されています。マンジャロは2022年に米国FDAにより、2型糖尿病の血糖値を管理する薬として承認され、肥満治療薬としても審査中であり、2023年中に決定する予定となっています。

マンジャロは、食後に小腸から分泌される2つのホルモン「インスリン分泌刺激ホルモン(GIP)」とグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)」と同様な作用をするものです。このGLP-1とGIPは、インスリンの分泌を促して血糖値を下げるため糖尿病に効果があります。

しかし両方とも脳内で「食間の空腹感や満腹感、満足感、食べたいという思いや渇望」に影響を与えることで食欲を減退させる働きもあります。

実際セマグルチドを投与した被験者よりも、マンジャロを最大量で投与した被験者の方が約5.5キロも体重が減ったことも示されています(当然糖尿病患者ですが)。またマンジャロの臨床試験で、体重減少の効果を評価しています。

週1回5mgを投与した被験者は平均15.0%の体重減少を示し、10mgでは19.5%、15mgでは20.9%と投与量の増加とともに体重の減少幅は大きくなりました。

マンジャロの副作用は胃腸の症状が挙げられますが、それほど激しいものではなく、かなり安心できるものという評価がなされています。ですから副作用よりも薬を中止した場合の結果が問題といえます。

セマグルチドの初期データでは、大幅に体重を減らしたあとに使用を中止すると、ほとんどの人がまた体重が増え始め、減らした体重の3分の2も戻る場合があることが分かっています。これはマンジャロでも同じことが起きる可能性があります。

結局こういった薬物療法では、長期継続し減った体重を維持する必要があるようです。これは薬物のメカニズムからも止むを得ないこととなるとしています。

それでも肥満を病気として捉え、薬物療法で治療する方法はひとつの選択肢となるのかもしれません。


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