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薬の効き方と服用時間・時間薬理学

2021-11-10 10:26:53 | 
通常薬を処方されると、1日3回だと食後で1回だと朝か寝る前という感じで、あまり服用時間など気にしたことがありません。

しかし「時間薬理学」という観点から見ると、最もよく効く時間帯があるようです。

例えば血圧が高いといっても、早朝に高血圧になるタイプや血圧が低下する夜間の時間帯でも高血圧が続くタイプなど、いろいろ異なっています。早朝高血圧の人は朝服用しても間に合わないかもしれませんし、夜間に高血圧の人が朝に降圧剤を飲んでも効果が弱いかもしれません。

そこで時間薬理学の検証が必要になるようです。薬理学は、薬物動態学と薬力学から成り立っています。この辺りの説明は省略しますが、薬物動態は薬物が生体内でどのように動くか、また薬力学は薬の効く仕組みと言えます。

口から入った薬は小腸で吸収され、肝臓で代謝されつつ全身に分布し、主に腎臓から排泄されます。小腸は夜間より活動している昼間に高いため、薬物の吸収も昼間が高くなってきます。

肝臓で作られる胆汁は脂肪の吸収を助け、この分泌は朝が盛んになりますので、脂溶性の薬物は朝方に服用した方が吸収が良いことになります。次に肝臓の代謝のリズムは、血流量は早朝に最大になりますが、代謝酵素のあるものは夕方に亢進するといわれています。

こういったリズム性も時刻による薬の効果の違いに繋がっています。また分布に関しては、血中タンパク質との結合率もリズム性を示すものがあるといわれています。

最後に排泄のリズムですが、腎臓への血流は昼間に高いことが分かっていますが、尿細管への分泌は夜間の方が高くなります。次に薬力学的なリズムですが、ある薬剤の血中濃度は一定でも、組織の感受性は昼間の方が高いというような報告もあります。

例えばコレステロール低下薬などは、標的の酵素活性が高い夜間に摂取する方が効果が高いという説もあります。

以上のように薬の効果を最大限に引き出し副作用を軽減するために、時間薬理の考え方は理にかなった処方に繋がります。しかし病気の種類やそのために処方される薬によって、最適な投与時間はかなり異なっていることは確かです。

したがって入院しているときなどは、ある程度コントロールできますが、自宅での処置では全く考慮されていません。医療現場の医師や薬剤師もこういった時間薬理の考え方は、ほとんど分かっていないのが現状です。

しかし患者が処方されたとき、時間薬理の調査をして最適な投与時間を割り出すことも難しいといわざるを得ません。こういう考え方もあることを認識する程度で、飲み忘れを防ぐことが良い方法なのかもしれません。


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