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生命誕生に雷が重要な役割

2021-04-17 10:26:39 | 自然
地球の生命誕生については色々な仮説が挙げられていますが、まだ仮説というよりは想像の域を出ていないような気がします。

現在生命の起源に関しては三つの考え方が存在します。第一は超自然的現象として説明するもので、インテリジェント・デザイン説があり、第二は地球上の化学進化の結果として考える説です。第三は宇宙空間には生命の種のようなものが広がっており、それが地球に到来した結果生命が誕生したという説となっています。

私は物質進化を想定した仮説(第二の仮説)を何となく信じています。ただし実際に無機物質から生命が発生することは今まで一度も観察されたことがなく、膨大な実験が行われていますが成功したことはないようです。

今回原始の地球に十分な量のリンをもたらし、生命の誕生を後押ししたのは雷だったかもしれないという研究論文が発表されました。エール大学の研究チームは活性化された有機リンとなり得るリンが、雷によって生成されることを突き留めました。

リンは細胞構造やDNAとRNAの構造などを形作る生命にとって極めて重要な構成要素のひとつです。数十億年前の原始地球では、リンの大半は不溶性の鉱物中に閉じ込められていました。

鉱物の一種である「シュライバーサイト」は反応性が高く、有機分子を形成可能なリンを生成します。地球にあるシュライバーサイトの大半は隕石に由来しているため、地球上での生命誕生は地球外の岩石の飛来に関係していると考えられてきました。

しかしある一部の粘土質土壌への落雷によって形成されるガラス状の物質にも、シュライバーサイトが含まれています。

研究チームは最先端の画像解析技術を用いて、落雷1回でリンの供給源となるシュライバーサイトがどれだけ形成されるのかを調べ、また約35億年前の生命誕生に至るまでに、どのくらいの量のリンが生成したのかを推算しました。

その結果落雷によって生成されたリンの量は、年間0.11〜11トンに上った可能性があることが分かりました。原始地球をシミュレートした結果、45億年前に月が形成されて以降は隕石の衝突が減少し、その後の10億年で落雷によるリンの生成量が隕石を上回ったと研究チームは説明しており、これは生命誕生の時期と一致しています。

この研究は生命をもたらすリンの供給源としての隕石を完全に否定しているわけではありませんが、この時期は隕石衝突がかなり少ないことは確かなようです。

この研究は生命誕生に必須な有機リンの生成についての新たな可能性を示したにすぎませんが、落雷の膨大なエネルギーが生命誕生に寄与したのかもしれません。

こういった研究の積み重ねで、生命誕生の謎が解明されるにはまだまだ時間がかかりそうです。


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