ごっとさんのブログ

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現代医療としての「漢方」

2019-07-18 10:20:31 | 
漢方薬は日常的に頼りにしている人もいれば、効果を疑問視する人もおり、受け止め方は千差万別なのが現状です。

病気の原因を特定し、取り除くという西洋医学とは考え方が異なることが背景にありますが、両者は対立するものではなく、補完する関係となっているようです。

漢方のルーツは中国にあり、6,7世紀に朝鮮半島を経由して日本に伝わったとされます。伝来してから日本独自の発展を遂げており、中国の「中医学」や韓国の「韓方」とは区別して位置付けられています。

日本の大学の医学部では、西洋医学の各診療科を学ぶだけでなく、漢方が必修授業として組み込まれています。漢方では、体内の神経系やホルモンなどの内分泌系のネットワークを介して、病気が全身のバランスを崩していると解釈するのが特徴です。

私は昔風邪をひいたかと、行きつけのクリニックに行ったとき漢方を処方されました。あまりうれしくなかったのですが、これを飲んで良くなったのかもしれません。いまだにあまり好きではありませんが、風邪をひいたかなと思ったときなどは、市販の葛根湯を飲んだりしています。

漢方薬の原料となる生薬は、天然由来の植物や動物、鉱物など多岐にわたっています。生薬の種類と量の組み合わせにより、漢方薬の種類は無数に及びますが、そのうち調合済みの製品化された約150種類は保険適用されています。

私が勤務していたころ、この漢方薬は何が効いているのか調べたことがありました。私の居た研究所で行ったのではありませんが、時々その結果を見に行っていました。何という漢方薬でやったのかは忘れましたが、解熱鎮痛の効果があるものでした。

漢方薬はその効果を動物実験でしか確認できませんので、非常に手間と時間がかかるものでした。

通常のマニュアルに従って、含まれている成分をその性質によって分離していくという操作を行ったのですが、分離精製を進めるに従いだんだん効果が弱くなり、あるところまで分離すると、どこにも活性が無くなってしまいました。

結局漢方薬というのは非常に多くの微量成分が互いに絡み合いながら効果を示すという、化学的には説明困難な薬であるという事が分かりました。

現在でも特に原因が分からないのに体調が悪いという「不定愁訴」という状態は、西洋医学では対処が難しく、漢方で改善を図るようです。

また胃腸などを治療する開腹手術後、腸が閉塞し腹痛などを伴う術後イレウスという合併症が起こることがあります。大建中湯という漢方薬にはこれを予防、治療できるとの報告があり、消化器外科では広く使われています。

このように西洋医学と漢方は互いに補い合いながら発展を続けているようです。


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