このたび歌舞伎の二世中村吉右衛門が、人間国宝に認定されたニュースは
歌舞伎ファンの一人として誠に喜びに堪えません。
現在、歌舞伎座は改修中で心寂しい想いをしていたが、これで勇気百倍…
吉右衛門は『俊寛』や『熊谷直実』、『勧進帳』始め、風格ある男性的な立役を
得意とするが、複雑な人間心理など陰影に富んだ演技に定評があります。
北海道在住では滅多に歌舞伎は見られないから、テレビの『鬼平犯科帳』を
楽しみに見ていました。この鬼平こと長谷川平蔵は、父の八世松本幸四郎から
引き継ぎ親子二代で演じていた。今回の受賞も親子二代で受けたことになる。
若い頃の吉右衛門は地味で線が弱く、華やかな兄の影に隠れて目立たず、
うっそりしていたが、年を経て渋い風貌に味が出た上に細やかな心理表現が
出来る役者に脱皮した…。何だか偉そうに…播磨屋さん、ご免なさい。
いつか秀山祭で観た『時今也桔梗旗揚』の光秀も、なかなか良かったです。
もしも…もしも3月の大震災が起きなかったら、7月5日に北海道公演があり
吉右衛門の『河内山』が観られたのに…実に残念無念。
まあ2年後の新歌舞伎座完成を、楽しみに待つことと致しましょう。