7月も中旬、札幌はアジサイの季節を迎えました。鮮やかなブルーやピンクの
球形の花々が爽風に揺れています。
アジサイには梅雨空が似合うのでしょうが、北海道のアジサイは専ら青空の下、
カラフルな七変化を楽しませてくれます。
1911年のベニスを舞台にした映画、『ベニスに死す』。
豪華なホテルのロビーにアジサイが美しく飾られ、華やかでありながら何処か
儚い幻想の世界を象徴しているかのよう…。
あの輝かしい少年の美も永遠のものではなく、ひとときの幻影に過ぎない。
アジサイの花言葉は、“移り気”、“高慢”。
R・ヴィスコンティ監督が、初老の音楽家アッシェンバッハとタッジオが出会った
ホテルを、華麗なアジサイで飾った意図は何だったのでしょう。
小野小町の作
…花の色は 移りにけりな いたずらに 我が身世にふる ながめせし間に…
アジサイを詠んだ訳ではないだろうが、何故かアジサイを思い浮かべてしまう歌。