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差出人は医学部1年生の太朗くんで、
彼はボーイスカウトの最高峰「富士章」を獲得している。
東北へ出発する、という内容だった。
4年前の英国での世界ジャンボリー(21WSJ)で知り合った
神戸隊の先輩、看護師、太朗くんの3人で向かうらしい。
メールには、こう書かれていた。
今、この春休みでないとできない。
自分は夏休みには 22WSJ に行かなければならない。
だから今、行きます。
他の2人も同じです。
居ても立ってもいられない、青年のピュアな気持ちが痛いほどわかる。
彼らの活躍を願わずにはいられない。
16年前の阪神淡路大震災のとき、
やはり当団の富士スカウト、章太郎くんが関西に住んでいて、
いち早くボランティアとして現地入りした。
彼は豚汁やカレーライスの具材を送るように僕に依頼し、
毎日それを調理しては被災者に配給した。
繰り返すが、章太郎くん、太朗くんともに富士スカウトだ。
彼らが付けているのは、ブリキの金メッキのバッジではなく、
本物の金のバッジだ。
誰に言われるでもなく、自発的に行動する。
僕は彼らを誇りに思う。
匹夫の勇や義侠心でスキルも知識もないのに被災地にいくことは無謀だが、
他のスカウトたちも自分にできることを考えて行動を起こしてほしい。
ベンチャー隊長などというエラそうな役職を拝命しているが、
スカウトたちに教えられたり、刺激を受けることの方が多い。
僕もスカウト活動に携わる身として、できることをやるつもりだ。