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津散歩想

2008-02-28 14:43:54 | 旅行記
Kanshoin城下町には、寺町がある。
僕が住んでる中津にも寺町があり、
今でも寺院の密集地帯だ。


津(三重県)にもあるにちがいない。
当てずっぽうだけど、寿町がそうじゃないだろうか。
もともと寺町は織豊時代の町割りの定番で、
いざ籠城というときの防衛戦にするために、寺院を1ヵ所に集めておいた。
当時、大軍を収容できる大きな建物は、城を除けば、寺院しかなかった。


さて、アテもなく津城下をぶらついている。


前述の寿町で、寺院を眺めながら歩いていると、
「史跡 寒松院藤堂家墓地」に迷いこんだ。
そこには、歴代の津藩主、そして支藩である久居藩主たちが祀られていた。
初代高虎候をはじめとして、歴代藩主の巨大な五輪塔が数十基もあり、
その迫力には圧倒させられる。


せっかくだからお参りをしていこうと本堂を探したが、
それらしき建物が見当たらない。
よくよく観察すると、壮大な五輪塔群とは裏腹に、
寺域には門や大きな建築物はなく、
墓塔だけが立ち並んでいる。
これも当てずっぽうだけど、
建築物は戦禍によって焼失したんじゃないだろうか?
なんせ歴代藩主の墓地なのだ。
おそらく、往時は荘厳を極めた建築物がひしめいていたと思う。


僕は、セントレア行きの高速船乗り場に向かって歩いている。


寿町から港までは思いの外ちかく、10分ほどで着いた。
直線距離だと1キロほどだろうから、
かつては寒松院付近まで海岸線があったのだろう。
寒松院という名称は、古のこの辺りの海岸に松林の防風林があり、
そこから名づけられたのだろうか?
これまた当てずっぽうな推測で、何の根拠もない。


Sea高速船のターミナルでは、
前夜、会食した音楽家の方が
わざわざ見送りに足を運んでくださっていた。
穏やかな海と雪化粧を纏った山々を一望に見渡せるカフェで、
彼女と昼食をとった。


前夜同様、会話に花が咲いた。
とはいっても、彼女とは共通の思い出話はない。
なぜなら、今回の津での再会以前に、彼女と会ったのはたったの1度きり。
それも14年も前のことで、その時間もほんの数分間だけだった。
けど、彼女と僕を結びつけてくれている人がいる。
その人はもう亡くなってしまったけど、
彼女の心の中〈SOUL〉にも、そして僕の心の中〈SOUL〉にも、
今も確かに存在している。


僕は船に乗り込み、家路についた。


彼女は、波止場から、いつまでも手を振っていた。
僕は、彼女が見えなくなってからも、船上から津のまちをずっと眺めていた。
形容しがたい想いが、僕に押しよせてきた。
おそらく彼女も、同じ想いで海を眺めてたんじゃないだろうか?

There's a rainbow in my soul...


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