土井さんは、ロボットアームを遠隔操作し、
日本初の有人実験棟「きぼう」を国際宇宙ステーションに据え付ける
という、難作業に従事するらしい。
今回のシャトル打ち上げは、日本の宇宙開発の大きな節目になるといわれている。
「宇宙開発」ときくと、いかにも夢やロマンにあふれたプロジェクトのように感じる。
しかし、宇宙空間は人間にとって多くの面で好ましくない環境であることはいうまでもない。
まず、呼吸ができない。
そして、なんの保護もうけていない人間の身体は、
真空の宇宙空間では数秒のうちに爆発的な減圧によって破壊されてしまう。
また、惑星の影になった部分は絶対零度に近づくし、
太陽放射を直接あびれば致命的な高温になってしまう。
要するに生身の人間は、数秒間も宇宙空間にいることができない。
どうして人類は、宇宙開発をするのだろうか?
宇宙開発の初期、
その動機は、駄々っ子のケンカみたいな、米ソの見栄(意地)の張り合いだった。
ソ連の有人ロケット打ち上げに成功の報せにアメリカが必要以上にジェラシーを燃やし、
10年以内に月に人類を送るという「アポロ計画」を半ばムリヤリ打ち出した。
アポロ計画中止の後は、軍事目的だった。
東西冷戦構造のもと、
軍事衛星やミサイル防衛などの開発に、大国が異常なまでに傾斜した。
莫大な国費を投じた開発合戦だったが、
結果として、科学技術の進歩に相当な役割を果たした。
現在は、何のために宇宙開発をおこなってるのだろう。
僕は、批判してるんじゃない。
宇宙開発は人類の将来のためのプロジェクトだろうし、
その実験のメインターゲットだけじゃなく多くのスピンオフ(副産物)を僕らにもたらしてくれるだろう。
メディアは、打ち上げに成功したことだけを伝えるんじゃなく、
宇宙開発の意義についてもう少し精緻に報道してほしい。
じゃないと、僕のようなド素人には他人事みたいになってしまう。