【ゴミ・スクラップ・ブック〔部分〕】
90年代に入り、じぶんの船出も近づく頃。
もう新しい音楽は産まれない、と確信していた頃。
化学変化が起きた感触。ハウス・ミュージックの現れ。
初めての微妙な触感は、深夜FMから流れていた808ステイトの「パシフィック・ステイト」だった。
1991年、四方八方から「東京もん」なる異星人扱いでスタートした、想定外の関西独り暮らし。頑固にCDを拒んだ中、LPレコードが発売されなくなった移行期。日本橋(にっぽんばし)のオーディオ・プロに口説き落とされて購入した、CDプレイヤー。
毎週末、自転車を転がしてうろうろする梅田で発見した、アンダーグラウンドな匂いの音楽ショップ「ソレイユ」。店内に掛かる音に触発されながら、中身は分からぬままジャケット買いしたハウス・ミュージックのCDにはことごとく裏切られた。
【ゴミ・スクラップ・ブック〔部分〕】
当時、大阪のテレビ局の冬休み企画・シリーズ「ツイン・ピークス」の全話一挙再放送。友人・ハブ噛み師匠が狂ったようにそれを観ていると聞いてはいたが、初めてこの機に見始めて、じぶんもハマった。
年末休みの中、実家からうるさい帰省要請があるのを無視して、ビデオテープに録画しながら、独りこたつに入って。
【デヴィッド・リンチ作品「ツイン・ピークス」冒頭】
こんな折、これも偶然、深夜FMから流れた音楽。確かにメロディは「ツイン・ピークス」のテーマだったが、原曲では無いハウスのアレンジ。余りの良さに、途中からカセットの録音ボタンを押した。誰が演奏しているのか?も分からないまま、しばらくは、そのカセットテープを聴いていた。
この曲のゆえんを知るのは、同じハブ噛み師匠が東京から定期的に送ってくれたビデオテープ。細野さんのBS特集「ホソノ・ハレルヤ」。
それまでは、まさか細野さんが絡んでいたことも、細野さんもツイン・ピークス・マニアだったことも知らなかった。
【サムシング・ワンダフルのアルバム「ローラ・パーマーズ・テーマ」1992(LDKスタジオ録音・プロデューサー:細野晴臣)】
このCDは、大阪から東京に戻ってから、900円程度の中古で購入したものだが、今では、ブックオフで250円で売っている。
しかし、アマゾンのCDの破格値具合も含めて、いくらでもコピー&ダウンロード自由になった、コピペばら撒き時代は、ついにCDというメディアすらも、完全切り捨てに入った。