こころとからだがかたちんば

YMOエイジに愛を込めて。

2013年6月18日 火曜日 山下達郎「風の回廊(コリドー)」'86

2013-06-18 21:20:42 | 坂本龍一のサウンドストリート

日本のミュージシャンで、未だにじぶんの中の「音楽の神様」であり続けているのは、YMO+3人+周辺ミュージシャン。
単発では、素晴らしい音楽を創る人たちもいるが、それを超えることは、無い。

そこに微妙に絡み合う軌道上に居るのが、山下達郎さんであり・竹内まりやさん。
アッコちゃん(矢野顕子さん)の「オーエス・オーエス」という「ラーメンたべたい」が収録された1984年。
その録音スタジオには、教授&アッコちゃんが居る、その隣で、達郎さん&まりやさんの「ヴァラエティ」が録音されていた。

達郎さんと幸福なる結婚をして、音楽シーンから一旦退いた竹内まりやさんだったが、主婦として居る中もかたわらで創りだめていた曲が良くて、達郎さんがアルバムにしたい、と録音をしたのが「ヴァラエティ」だった。
「ヴァラエティ」とは、達郎さん曰くの「幕の内弁当」。さまざまなスタイルの曲が1枚に収まったアルバム。

***

教授&アッコちゃん夫婦・達郎さん&まりやさん夫婦。
共に偶然だが結婚をしたのは、同じ1982年のこと。

教授&アッコちゃんの結婚初期の蜜なる時空がパッケージされた「愛がなくちゃね。」が、あまりにも素晴らしくて永遠であるように、達郎さん&まりやさん夫婦の「ヴァラエティ」は、当時の「山下達郎のサウンドストリート」を録音したと共に、LPレコードで聴きまくった。

じぶんにとっては「オーエス・オーエス」が余り好きでは無くLPを買わなかった一方で、1984年段階では「ヴァラエティ」のほうが断然素晴らしかった。
達郎さんが、まりやさんを大事にしている想いが音になっていた。
それは、今も変わりはない。

***

「坂本龍一のサウンドストリート」に1982年6月1日ゲスト出演した達郎さん。
「なぜ、山下達郎が坂本龍一の番組に出るんだ、というお思いの方も居ると思いますが・・・」(教授)
さかのぼる1975年に、お互い「辺境の民」として2人は出会い、友人として親交深い生活を送った。
その後のバンド「シュガーベイブ」に居た大貫妙子さんと教授が恋人同士だった時期を経て。。。
この1982年6月1日では、2人は「結婚」なるもので、いかに適当に大衆雑誌があること無いことを書きつつ・本人らのプライヴェートをさらし者にするものかを、そのひどさを、語っていた。

その後、1984年、同じ場所で録音された「オーエス・オーエス」と「ヴァラエティ」。
隣に居るということもあり、「坂本くん、ちょっと手伝ってよ」と「ヴァラエティ」収録の『結婚しようよ』でキーボードを演奏したり、日々交流があったという。

***

これは、渋谷陽一さんとの対談であったり、渋谷さんが述べたり・書いたりした評論でも明らかなことだったが、山下達郎という人の不思議な在り方。
彼自身は、音楽がとても好きで、レコードコレクターとしても、家のゆかが抜けるほどのコレクターであるが、どちらかといえばブラック・ミュージックの影響が強い彼が、自らの長い長い音楽活動をする中で、彼自身が創る音楽にはブラック・ミュージックの影は薄く、ついつい良質なポップ・ミュージックとなってしまう。

かたちんばは、彼自身が出たマクセルのカセットテープのCMで演奏された「ライド・オン・タイム」に脳天を一撃されて以降、YMOほどの熱心さでは無かったものの、達郎さんの音楽を過去から今に至るまで聴いてきた。
(むしろ彼の音楽の本質への、素直な反応としての磁力は90年代以降だったかもしれない。)
彼自身も渋谷陽一さんも述べているが、決して本人は「ミドル・オブ・ザ・ロード」を歩くつもりはさらさら無く、大衆に受け入れられるつもりでポップ・ミュージックを奏でているわけでも無いのに、結果論として、良質な音楽として、大ヒットしてしまうという構造の不思議さ。

***

そんな彼が1986年4月に発売した「ポケット・ミュージック」には、実に重い・重い曲である「War Song」が収められている。
かたちんばは、2年目の素浪人に突入時代。じぶんにとっての寄る辺・共時性進行形音楽であったニュー・ウェイヴ/テクノが終焉を迎えると共に、じぶんのイノチも終焉を迎えようとしていた頃に鳴っていた音。
初めて「War Song」を聴いたのは、日曜日の夜のNHK-FMの渋谷陽一さんの番組で、渋谷×山下対談がされた際に掛かったもの。
その頃、隣の兄の部屋からは、毎朝LPから「War Song」が流れていた。

この曲の重さは、別の機会にちきんと述べたい。
このところ、毎朝・毎夜、涼しさを感じたいがために必ず聴いている定番「風の回廊(コリドー)」。
「ポケット・ミュージック」に収録された愛する1曲。

日曜日「父の日」で実家に家族集合した際に、料理をするかたわらで鳴っていたベスト盤「トレジャーズ(贈り物)」からの1曲。
「なつかしいいねえ」と、達郎さんファンの兄・自分・お袋さんの3人は、3人3様の想いを抱きながら聴き惚れていた。
彼の素晴らしい音楽は、今では、時空なんか平気でひとっ飛びして、永遠を獲得した音楽ナリ。
■山下達郎 「風の回廊(コリドー)」1986■

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1 コメント

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無題 (4月の魚)
2013-10-30 21:15:33
なつかしいですね…
これは山下氏が、時流の流れに逆らえず、手探り状態で打ち込みに手を出したアルバムとサンスト木曜日に語っていた記憶があります。
間違っているかもしれませんが…
夏を全面に押し出していたカラーが成りを潜め、ちょっとブルーな感じですね。山下久美子さんのシャンプーのセルフカバーが入っていますよね。
雨の134号線を運転中、渋滞に巻き込まれながら鎌倉方面へ向かう道で聴いたせいか、自分の中では「梅雨アルバム」ですね。
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