こころとからだがかたちんば

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冬の100曲:ペイル・コクーン「繭」1984

2024-12-22 12:40:00 | 音楽帳

昨日12月21日冬至をむかえ、まさに冬本番になった。日中は相変わらず雲の切れた晴天が続いているが、昨夜は風速15mの強い北風が吹き荒れて、野外の自転車は総じてなぎ倒されていた。そして今朝もその強風は続いている。

***

先日書いたペイル・コクーンは11月くらいから聴いている。デビュー作である4曲入りレコード「青空の実験室」(1982年)以外に、1984年に発表された「繭」を聴いている。最近は、寒空の下チャリンコで走る中聴くこの「繭」がとても心地良い。

「繭」は当時カセットブックの形で発売されたもの。カセットテープ好きの自分は欲しい一品だったが、「欲しいなあ」で止まったままこれも買えずじまいで時間が流れていった。

当時は「カセットブック」そのものが「新しい」音楽形態みたいに扱われていたから話題にはなったが、失礼ながらそんなに数が売れなかったはず。。。その「繭」が2020年に初のレコードとCD化となった。私が「繭」をやっと聴けたのもここ数年のこと。

<当時聴けたらもっと良かっただろうなあ、という名盤。>

こんなセリフはよくレコード評につきものだが、これはよくある饒舌なウソではなくて本音。すごく良い曲が多い一枚。自分にとってはまさに2024年の名盤なのだ。

クレジットを見ると曲目はすべて英文字。その文字を立ち止まってようく読んでみる。

A面

  1. Sora
  2. Shunmin
  3. Musoukyoku
  4. Mizutamari
  5. Onshits
  6. Kumoatsume

B面

  1. Toy Box
  2. Laboratory under the Bluesky
  3. Room=Manhole
  4. Automatic Doll
  5. Microscorp
  6. FLALORM

A面始まりから・・空・春眠・夢想曲・水たまり・温室・・・。勝手に日本語に置き換えてみると、このアルバムの世界がよく伝わってくる。今は冬の風吹く中チャリンコで聴いているが、聴いていると雪解けして水ぬるむ季節のぼんやりした春の風景が見えてくる。

歌詞は聞き取れる箇所もあるけれど、過剰なほどエコーがかかった音像の中に歌う声は波紋のように広がって正確には聞き取れない。それがとても心地良い。歌詞なんてわかったって仕方がないのだから。。。あえてぼかしてあると推測する。

また、このアルバムではデビュー作「青空の実験室」の曲が装幀を変えて登場する。A4「Mizutamari」は「水たまり (Brain To Vain)」のリメイクだし、B2「Laboratory under the Bluesky」は「青空の実験室」の、B4「Automatic Doll」も「自動人形」のいわばダブヴァージョン。機材も予算も限られた中だっただろうが、仲間たちの手を借りながら「創意工夫」の末に創られたサウンドは、デモテープの延長線上にあり(←これは褒め言葉)音質的にも決して良いものではないけど、ぼんやりした音の森は実に魅力的。どんなカネの匂いぷんぷんな音楽よりもはるかに美しい。

 

■Pale Cocoon「Sora」1984■


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