大久保さんはとても良い立ち位置を見つけたものである。。。最近よく思う。
「大久保さんだけでは分からないぞ。」そうそう、前段が無かった。
元オアシズの大久保さんのことである。と言っても、元オアシズという例えも一般的ではあるまい。
イギリスのバンドであるオアシスとは、一切関係が無い。
がたがた遠い説明よりも、写真を見てもらった方が一目瞭然だろう。
この大久保さん演じる、角刈太郎の写真を今日・後輩の同僚がパソコン(アイ・パッド)の壁紙にしているのを見た瞬間、吹き出して笑いが止まらなかった。
3人で大笑いして、しあわせな時を過ごす。
この写真の領域は明らかに清水ミチコさんのもの。あるいは、シンディ・シャーマン?笑。そこまで大久保さんは喰ってしまうか。。。
かつて大久保さんは、光浦さんと2人でお笑いコンビを組んでいた。
まだ、ナインティナインを中心とした土曜の番組「めちゃめちゃイケてる」に見る価値があった頃の知識では。。。コンビを解消した後の大久保さんはOLをしていたはず。
事実はともかく、そーゆーことになっていた。その片方で「めちゃイケ」にも出ていた。
岡村さん・矢部さんは置いておいて、それ以外の芸人が言うほど面白くなかったのと同様、大久保さんもぱっとはしなかった。
それが、さまざまなテレビ番組を日々見ていた最後の記憶だった。
(・・・と言いながらも、ウソの中国人マッサージ師の格好をして出てくるコーナーには「イケナイ」と思いながらも、肉体に眼が行ってしまっていたが)
***
ここ数年。
毎日、1時間だけテレビを見るお昼間。お弁当を食べながら、なかまとおしゃべりをして見るテレビ。
その中で昨年出会ったNHKドラマ「あまちゃん」。毎日見ている中、「自分で自分をキレイと思っているブスの愛人」役として大久保さんを目撃する。
尾美としのりのマンションのシーンの隙間・片隅に現れる、シャワーを浴びてナイトガウンを着た大久保さん。
或いは、アクロバットな鉄棒演技をCMで見ると顔が大久保さん。
「これって、本人?」と周囲に聞くと、笑いながら「合成ですよ」と言われる。
実家に家族が集合すると、そこではテレビが何事も無く流れているのだが、とあるドラマを見ると「あっ、大久保さん」。
兄が「この人、とても良い芝居をするんだよね」と素姓を知らないで(芝居メインの人と思って)いるので、過去の話しをすると「ああ、そうなの?」と戻って来る。
とにかく、どうやら、大久保さんは、今、人気者なのである。
あらゆる変化(へんげ)を受け入れられる、まるでスポンジのような吸収力。
変幻自在な存在。
メガネを掛けたブスと地味なブスという言われ方の多かった、過去のオアシズの2人。
その後、単にげーのーかいから仕事を貰えている(という意味としてだが)光浦さんは知っていても、大久保さんは日影の存在だった。
それが今では、多様なニュアンスを表現できる人として、大久保さんの存在感を多くの人が認めている。何とも人の辿る道とは不思議である。
***
東京のいろんな街を放浪していると、いろんな人とすれ違う。
実は、光浦さんも大久保さんにも会ったことがある。
その会った場所が絶妙だなあ。。。と思うのが、光浦さんには、都電荒川線の王子駅を降りた付近。
大久保さんは、御徒町。
上野広小路にある松坂屋から、仲御徒町交差点へと向かう途中、昔から地元でなじみの『下町の総合デパート「吉池」』を過ぎた辺り。
右側通行の道を自分は、仲御徒町方向に歩く。左側を、吉池方面にたくさんのおじさん・おばさんが並んで歩いている。
お互い行きかう中、そのおじさん・おばさんの顔の中に「むむむっ」
最初は「もしかしたら」、その後「やっぱり本人」と大久保さんを発見。
相手も自分の強い視線に気付いたらしく、そこで他の所に視線をずらされた。
しかし、あのときの大久保さんは何事もなく、流れる人々の場に染まりきっていた。とてもOLとは呼べない染まり具合。
「御徒町の雑踏の人」を見事に演じていた大久保さん。実に「ナイス」な場所と現れ方。
***
永遠に整形し続けることで、ダッチワイフ化していく蒲池法子(芸名:松田聖子)
または、アンドロイド化していく釈由美子、といった生き方もあろう。
だが、そういった、世界が向かうプロトタイプに収斂されていく平準化や自他差異排除の方向性に、すべてが巻き込まれていく中で、芸人はともかく。。。
一般人も役者も含めて、せっかく産まれてきたのだから、
他人・世間がどんなに「ぶさいく」と言おうが、味のある人としての存在であり続けたいものである。
「逸脱セヨ、愚行であろうとも 」(寺山修司)なのだ。
VIDEO
■スケッチ・ショー 「ワンダフル・トゥ・ミー」2002■
作詞:高橋幸宏、細野晴臣
作曲:坂本龍一、高橋幸宏、細野晴臣