神保町にある音楽ランド「ジャニス」の店内。そこで偶然掛かった音楽に目の覚めるような想いがした2001年ある日ある時。
ウルリッヒ・シュナウスのファーストアルバム「Far Away Passing By」。
店内のコーナーに店員さんが手書きした文字「エレクトロニカ」。初めて知ったコトバだった。
その後、足しげく「ジャニス」に通いながら、一方ではレンタルでCDを借り、もう一方では、中古の方の店舗で、その類のCDをがさごそと探索していた週末。
「エレクトロニカ」なるコトバとの出会いのお蔭で、さまざまなCDと出会ってきたが、良いモノもあれば「うーん」とうなる微妙なモノもあった。
最近、第一次身辺整理のため、ゴミ屋敷掃除を進める中で、散らばりきったCDを少し分類していた。
音楽メディア。それは、いくら大事にしようと残念ながら、あの世にを持ってはいけないのだから。
2002年CDショップで、がさがさの挙げ句の発見。オススメの1枚。
デヴィッド・アルバラードという人の「マヤソングス」が、ひさびさにゴミ屋敷から引っ張り出されて、それをここ数日聴いていた。
このミュージシャンの素姓は一切不明。ジャケットは極めて地味だが、とても良い優れた作品。
イメージを文字で書くとすれば、教授(坂本龍一)が取り組んだ作品「ハートビート」(1991年)のように、ハウス特有の「四つ打ち」の鼓動が鳴るが、その作品とは異なる。まあ、発表は11年の開きがあるので当然だが。
前述の「ハートビート」と違うのは「ひたすら展開せず、行けるところまで転調せずに行く」ミニマルなシンプルさ。・・・という意味ではYMOの「テクノドン」寄り。
前かがみの姿勢、音のさなかでふわふわと声や浮遊するものは現れるが、基本は骨太のハウスである。しかし、飽きはなく、安定感があり、心地良い。
そのへんが10年を経た違いか?
ときにはスペーシーな曲、ときには地団駄を踏んだように停止したり、と思えば、疾走感が強い曲だったり。。。
自分にとって、この作品は踊るための音楽ではない。自室リスニング可能なハウス、といった感じだろうか。
あるいは、(今はクルマに一切乗らないが)夜の道の一人のドライヴの最中掛ければ、別世界にトリップ出来そうである。
CDを掛けっぱなしでも心地良いが、今夜はこの作品の1曲目である、ポップな「ザ・ビギニング」という曲をおすすめしたい。
■デヴィッド・アルヴァラード(David Alvarado)「The Beginning」2002■