二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の形は、追記

2011-12-09 11:14:47 | ■工房便り 総合 
恥ずかしながら、4番目の形は私の作っている二胡の一つの形です。

他にもあるのですが、バランスの良さと言う点では、この流線形に近いというのが全音に渡って良く音が出るのと、

弾いた瞬間に音が出ますので、ヒジョーニに気持ち良く弾けるでしょう。

良く出来た優等生的な伝統的な形と音と言うより、若いころから楽器を弾いてこなかった方でも、素直に気持ち良い音が出る形です。

初めて出会った楽器が、滑らかに体の中に音がしみこんで来てくれたら、こんなに気持ち良いものはないのではないか、と言うのが、私の想いです。

今までの二胡に慣れた人にどう受け取られるかは分かりません。

子供のころから、或いは、10年近くも弾きこんできた楽器を持っている方には、

なじまないと言うのは有るかもしれません。

あのストラデバリウスでも、そう言われて、私はガルネリの方が好きと言う方もおられるのですから。

ストラデバリウスは、弾きこなすのに相当大変な思いをしないと、弾けないのだそうです。
300年経った今でも、演奏前の2時間くらいは弾きこまないといけないと言われます。
ガルネリは、反対にいつでも音が出ると言います。

当然ですが木の楽器は毎日毎日弾きこまないと音は出て来ませんが、それにしてもスムーズにかなりの初心者でも音が出ると言います。

これを愛用している演奏家も多いのです。

この流線形の形状をした楽器は、とても簡単に二胡の良い音がします。

これは形状の問題です。

先生方の中には、こんなのは二胡ではないと言う方もいらっしゃいますし、日本人の演奏家の中にもそのようにおっしゃる方もいらっしゃいます。

でも北京系が出来上がって直ぐの頃には、これは二胡ではないという話も沢山ありました。

人には慣れと言うのが有ります。

特に子供のころから、弾いていた楽器は、母親の料理の味と言うくらいに慣れています。
ですからそれと違う物には否定的になると言うのは誰にでもあるし、その事に気がついていない方も多いのです。

さて、
蘇州型なり、北京型なり、そのまま作れば(いわゆる伝統に基づいて)私にも勿論そのまま蘇州型、北京型の二胡の音と言うのは作れます。

勿論そのくらいに作れる技術は有るのですよ。(これへんな自慢ですかね?)

出来る出来ないは別にして、やはりそれ以上の物を目指すのは物作りとして、生まれた以上これは、持って生まれた性格なのです。

その上私には二胡は、子供のころから弾きこんできた楽器と言うわけではありませんから、ひたすら良い楽器作りだけを目指せばよいのです。

伝統に縛られる意味がないのです。

師匠もいませんし。

二胡はこうでなければいけない、と言うことが有りません。

もっといいもの!!!(何が良いかも解らずにやってしまうのです)

そう言う意味で、私は物作りと言う人種なのでしょう。homomonotukuriなのです。


人の慣れと言うのは有ります。

やっぱりうちの料理が一番おいしいと言う方は大変多いと思います。

よそのお家で出されたカレーが、えっ!と思うくらい異質なものに感じることもあるのではないですか。

それを素直に受け入れる方も居れば、こんなのはカレーではないと言う方もいらっしゃいます。

うちの料理は世界一と言う方もいらっしゃいます。

幸せな方だなーーと、嬉しくはなりますが、

それでもわざわざ、料理屋さんやレストランに行く意味と言うのはなんでしょう?

勿論雰囲気と言うのも有りますが、やはり家庭では手に入れられない材料と、それにかける仕込みの手間が違いますね。

ほんとにおいしいものを食べた人ではないと、美味しいということは分かりにくいという話は有ります。

最近、友人の中華料理屋を引退した人が、時々、自家製の、野菜など持って来てくれます。1年物のネギ、これは美味しかったですね。

タダ焼いて食べただけですけど、超肉食の私は、ネギがこんなにおいしいとは知りませんでした、なんか普通に売っているネギ食べられなくなりました。

楽器もそうですね、ほんとに良いものを弾いてみないと楽器の良し悪しと言うのは分かりにくいかもしれません。

ですから皆さんも、様々な楽器屋さんに行って、一番お勧めと言うのを弾かせてみてもらって下さい。

楽器屋さんはいやな顔しませんよ。喜んで弾かせてくれるはずです。

上手いとか上手くないではないですから、美味しいものは経験しておいた方が良いと思います。

それに、高ければよいという物でもありません、特に二胡は。

料理もそうですが、楽器も相性というのが有ります。

ザボンの1000円のラーメンが、美味しいのは分かりますが、毎週行く喜楽の420円のラーメンは、私には必需品です。

レストランだったら皆さん、どんどん試しに行くでしょう?

料理と言うことでは、二胡に関して言えば、その素材を活かす調理(調整)された楽器をお持ちの方が非常に少ないということですね。

折角良い素材でありながら、調理が下手だと折角の味が壊れてしまいます。

調整と言うのは、その楽器を如何に良く鳴らすかということなのです。

その材料に合わせて味付けすると言うことでしょう。

折角の良い二胡を十分歌わせてやれない調整法と言うのは、二胡の世界に蔓延しているような気がして仕方ありません。

二胡の音はこうでなくてはならないと、無理やり駒と千斤、それから弾き方でなんだか聞いた事のあるCDから聴こえて来るように、調整してしまうのも多いのです。

二胡は、生の音を聞かせる楽器ではないかと私は思っています。

元々がそれほど大きい音の出る楽器ではありませんから、他のピアノやチェロなどと合わせるとどうしてもPAに頼らざるを得ないのは分かりますが、、、、、、どうなのでしょう。

PAを通すと言うのは、すべて化学調味料を使ってしまうような料理と変わらないのではないでしょうか。

と言うのは極論だとしても、せめて、なるべく二胡の生の音に近くして欲しいですね。

CDで聞いたあの演奏家の、ライヴ行ったら、CDの方が全然良かったなどと言うことにはなって欲しくないですね。

二胡の持っている音を活かすとしたら、何か方法があるのではないでしょうかねーー。

これは演奏家に期待するしかないですかね。それとも、音響さんの力と言うのもあるのでしょうか。

無理やり癖をつけられた演奏や、無理やり締め上げたような楽器の音と言うのは苦しいですね。

音楽は料理に似ているかもしれませんね。

譜面と楽器の良さを演奏家がどのように調理するかでしょうか。

それと感動と印象が残るだけのものですね。

良い音楽と美味しい料理ほど人を幸せにするものはないですね。

楽器を作る上でも同じことが言えます。

如何に良い材料を手に入れて、如何に下ごしらえして作り上げるか。

下ごしらえを、一手間かけると出来上がりに大変大きく違いが出ます。

蛇皮の下ごしらえは、まさに料理と一緒です。

次は、蛇皮の料理?、下ごしらえと仕上げの事に付いて書きます。

だんだん話はマニアックになります。すみません。

喜ぶのは、、、、かな?



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