二胡工房 光舜堂

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桐の二胡その3

2010-05-26 08:50:58 | ■工房便り 総合 
楽器としては、木の板を振動させて音を出すというのは、擦弦楽器としてはごく普通のことのように考えていた。

二胡に出会って、様々調べているうち、皮張りの弦楽器と言うのがかなり、アジアに広がっているのが解った。

ラバーブ、という、アラブ、エジプトのもの、

レバブというマレーシアやバリ島のもの、また、沖縄のクーチョー、日本の胡弓、

などが有る。

振動板に使うのは、ラバーブが山羊皮を使う以外全て、錦蛇の皮を使う。

不思議なのは、室町時代の終わりぐらいからあったと言われる、胡弓の、蛇皮、

これはどうしたのだろうか?

勿論、室町時代は、倭寇に代表される東南アジア貿易が盛んだったから、問題は無いが、

鎖国された、江戸時代には、どうやって、蛇皮手に入れたのか?

まあ、密輸(抜け荷)だろう。

それが入らないときに、猫皮使った三味線なんかができたのかもしれない。

何れにせよ、起源や歴史は、学者の方にお任せするとして、

薄くて強靭、そして、弾みのあること。

それが、弦楽器の振動板に求められる要素になる。

弦の振動という、非常に微細な振動を拾うとしたら、薄いということが必要。

その薄さは、材料の硬さや密度によって決定される。

同じくらいの厚みのコンクリートと鉄の板では、鉄の方がなる、

それは密度があるから。

ある程度の張力を必要とする振動板は、かなりの強靭さを必要とする。

同じ、紙を、ふわっと置いた状態で叩くのと、4方を引っ張りながら叩くのでは、

なり方が違う。

弾みは、ボリュウムと音色にかかわってくるだろう。

同じ厚みの、プラスティックの板と、段ボールあるいは、紙では、プラスティックの方が

音は大きい。

このように考えて行く時、木の中では、どんな樹種が、振動板として最適なのだろうか?

バイオリンは、松(アベーテロッソ、スプルス)を表板に使う、裏板は、楓。

根柱で二つは繋がっているので、両方が振動するのだろう。

柔らかい木と硬い木、この二つの振動板によって、バイオリンの複雑な音が出る。

二胡には、裏がない。

表一枚であの複雑な、倍音が出る。

勿論、皮は、胴に張ってあるから、胴の硬い紫檀黒檀が倍音の元にはなるが、

あくまでも、直截振動するのは、皮である。

もし木に置き換えた時、あの蛇皮に代わるものは、あるのだろうか。

こうやって、樹種の探索は始まった。

西野和宏
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