人様の二胡を借りたり、あるいはお店の楽器を弾かせてもらったりする時に、やってはいけないことがあります。
それは千斤の位置(胴の上からの長さ)を勝手に自分なりに変えてしまう事です。
皆さんがやっている千斤の位置の決め方というのが、ほとんど二胡の胴の上に肘を載せて、小指の先やら、第2関節やらで千斤の位置を決めています。
これとても不思議なのですが???どうしてそうやるのでしょうか?
もっともらしく胴の上に二胡をのせて、小指の先で位置を図り千斤そのまま上げたり下ろしたりしています。
そしてこの楽器は良く鳴らない、あるいは高音が、などとおっしゃる方もいます。
これは今までにマナーにはなっていませんが、
例えば、お友達のを借りたとき、あるいは楽器屋さんのを弾かせてもらう時、
なるべく千斤を移動しないで、そのま弾せてもらいましょう。
そうでないとせっかくお友達がご自身で調整した物が狂ってしまいますし、お店の側が良い状態を作っておいたにもかかわらず、鳴りにくい楽器に感じてしまうからでもあります。
理由は、上の画像です、(デザイナーにあるまじく絵が下手なのはお許しください。)
これは、千斤の位置(胴からの距離)が変わった時に、千斤の締め具合を、大まかに描いたものです。
一番上は、胴からの距離、38センチとすると、棹と弦の間は、18ミリから20ミリくらい、(あくまでも位です。)
二番目は、胴からの距離(位置)が、43センチだとすると、棹と弦の間は、10ミリから13ミリぐらいです。
そして、3番目は、胴からの距離が、33センチくらいだとすると。棹と弦の間は20ミリから22ミリぐらいです。
2番目の図、これは千斤までの弦の長さが、長くなると、駒を抑える力が弱くなるため、
より千斤を締め上げないと駒があそんでしまうからです。
3番目の図は、位置が低くなると(胴までの距離が短くなると)弦の振動が弱くなりまた、
弦の振動が正常には働かないせいでしょうか、雑音も多くなり、また音の伸びが悪くなります。
どんな弦でもその長さいっぱいに使うことによって正常な振動が得られるように作られているはずです。
それが働かなくなるのです。
駒が強く押し付けられすぎてしまうのもあります。
ですので千斤を少し緩めて棹と弦の間を22ミリくらいにした方が音の伸びも良く鳴ります。
但しこれは使っている弦の性格によりますから、これは実際にやってみてから決まります。
お試し願いたいのは、
ご自身の楽器で、今の千斤の巻き方、そのままで上に5センチ動かし弾いてみて下さい。
そして下へも5センチ動かして弾いてみて下さい。
そうすると、これから私が話そうとすることが、一応ご理解いただけると思います。
千斤の締め具合は、その締める位置(胴からの距離)と弦の硬さ及び弾力によって、棹と弦の間の幅が決まります。
お友達の二胡やお店の二胡を弾かせていただく時に、千斤の位置を変えてしまう方がいらっしゃることにまず驚きました。
自分の変えられたら、すごく困りますね。
調整し直しになってしまいます。
二胡についてレッスンであまり説明されない先生もいるということでしょうか。
自分で得ようとして、且つ見極めないと、正しい知識が得られないというのも大変ですよね。
お友達の二胡を弾かせてもらうと、もう少し千斤を上げたら、音がキレイに抜けていきそうなのになあと思うことがあります。
でもあまり高くしたがらない方が多いですね。
私は自分の手ではなく、二胡にあわせた調整をしたほうが良いと思うのですが。。。
なんなら、手の大きさは、よほどでなければ大丈夫だと思うんです。
先生が、もう少し上げた方が良いよとおっしゃっても、無理だという方は多いので、もったいないなあと思ってます。
西野さんのお話聞いたら、考え変わる人いっぱいいるかもしれません。
いつの間にか手に合わせて千斤の高さを決めるということが、定着してしまっています。
新たな基準というのは人は受け入れにくい物です。
かなりのプロでもそうやってしまった方もいます。
それでも良いのです。
その人の手の基準に合わせた千斤だとしても、良く鳴らせるように。するのが私の仕事です。
ただマナーは作った方が良いですね。
いきなり人さまの楽器の千斤の糸だけを変えてしまう人もいます。そうすると楽器は鳴らなくなります。
多少問題があったとしても、それなりには収まっていたものですから。いきなり駒替えたり駒の糸を動かしたら、それを単にそれぞれやってしまうと調整が崩れてしまいます。
駒も、弦も、弓もですが、しばらく弾き込まないとちゃんとは鳴りはじめませんから。
ご自身の楽器で千斤だけを動かしたとしてもしばらく落ち着くまでに時間はかかってしまうのです。
皆さんそのことをご自身の楽器で実感してみると調整ということがわかってくるとおもいます。
其々に千斤の位置も違い皮の厚みも経年変化も違うのですから、今までにこれという調整の仕方というのが無かったのはわかるのです。
少なくともヴァイオリンは、それほどには上駒(千斤)の位置は変わりませんから。