糸千斤の種類が変わることで音色は変わります。
かなり大幅に変わる物も在ります。
昨日の千斤の位置(胴からの距離)の話で、ご自身の手の長さで、千斤の位置を決めるというのが一般的になっているという話ですが、
今更このこおとを否定しても仕方がないと思っています。
要するに手の平の大きさが小さいから小指が、ソ の音を弾きにくくなるから、その手の長さに合わせればよいという考えだと思います。
これはすでに広まってしまっていますから、今更否定する気はありません。
ただそれに対応する調整方法を見つけ出さなければいかないと考えてきました。
それが昨日の画像です。
そしてもう一つ、
それは千斤の種類を変えることによって、短くなって本来の鳴りより硬めの音になりやすいのを軽減する方法もありうるということです。
糸の種類の話です。
二胡の中には解放弦の音だけ、指で音階をひいたときと大変違う音色がするものも多いです。
これはどんな弦楽器でも同じです。ヴァイオリンも、三味線も、解放弦の音だけは他の指で押さ太音と変わります。
二胡の場合は、他の楽器と違うところは、その違いを利用して演奏することも多いですね。
D調のソ(Aの音)を内弦の小指で弾くのと解放弦を続けて弾くと、同じ音なのにずいぶん雰囲気が変わるのを利用したりもします。
これは三味線なんかにもありますね。
音の質が変わるからなるべく解放弦を弾かないという楽器もあります。
またこれは個人的な好みもあって、解放弦でもなるべくその他の指で弦を抑えた音に近くしたいという人もいます。
解放弦だけでなく、基本的には千斤の糸の種類を変えると音色は変わります。
普通は、最近では中国では、ほとんどポリエステルの編んだ糸を使っていますね。
ポリエステルの良さは、伸びないことです。
昨日の話のように千斤の巻き具合で音の鳴りというのは相当変わりますから、最初に設定した時と変わってほしくないのです。
ですから、ポリエステルの伸びにくい物を使うことも多いです。
ただいまだに木綿の凧糸を使っている楽器屋さんもあります。
凧糸は皆さんのご存知のように、大変伸びやすい物です。
その分音が柔らかくなるという人もいますが、確かに柔らかくは鳴るのですが、その分伸びていってしまいます。
そして麻糸を使う方もいます。
案外ふんわりした音になります、但しこれは最初の内だけでしばらく使っていると(1週間ぐらい)硬くなってきてそれほどの代りはありません。
ですからこの伸びやすい木綿や麻糸を使うのは必要な時にいつでもちゃんと千斤をまける人の方が良いと思うのですが、いかがですか?
本当なら、指で抑えるような感じで解放弦がなればよいのでしょう。
ですからつい柔らかい種類を選んでしまうのかもしれません。
指は単に柔らかいだけでなく、その下に骨があります。
結構しっかり支えてくれています。
表面が柔らかくて中がシッカリしている、という点で、以前FBで朱新建さんが試したという、皮の千斤。
これは大変指に近いかもしれません。
私なりにもやってみて音としてはかなり良いと思いますが、、
これは批判ではないです、問題は湿度で伸びるという事ですかね、。
常にエアコンの中で演奏するとしたらこれは問題は無いのですが。
でも皮を使うという発想とても良い物だと思います。(湿度対策だけ何かすればよいのでしょう)
後私が今試しているのは、この画像の一番最初、これはなんだかわかりますか?
これ馬のしっぽです。
馬のしっぽだけですと湿度にも弱いですが、あたりの柔らかさと強さがあるという点では相当優れています。
また馬のしっぽは伸びます。
しかし撚りをかけるとその伸びは、ほとんどなくなります。
その上使いこんで古くなった弓の毛は、伸びにくいし硬くもなっています。
これと銅線とを組みあわせて、今開発途上です。
千斤自体まだこれという形が完全には出来上がっていません(いろいろあっても良いのだという意見もあります)
これは何も私だけでやるものではないです、どなたかお試しになってはいかがですか。
尚、来年始めようと思っている、二胡の調整講座では、参加する皆さんの意見も取り入れながらこんな新しい千金の工夫などもしてみようと考えています。