二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

二胡の制作過程、胴の削り。

2014-01-06 12:08:55 | ■工房便り 総合 
中国では、皮を張る前に、胴の削りは完了させます。

革が張ってあると、機会に乗らないからでもありますし、決まった型で削らないと削れないからでもあります。

私の場合は、まず皮を張ってしまいます。

よく乾燥させるのに4日ほどかかります。濡れた皮にニカワを付けてはるのですから乾くのに時間がかかります。

そして貼ってある皮を前から14ミリのところで切り落とします。



それから、粗く削りだします。

写真の上の物がそうです。



それから、仮の棹と木軸を取り付けて、弾いてみます。

鳴り方により、それぞれの部分を削り込んでいきます。

高音部の鳴りは、胴の後ろの方、が左右します、削り過ぎると高音の音がきれいな鳴りになりません。

皮のすぐ下のところは、低音と全体の音の響きを決定します。

このところが厚すぎると大きななりは得られませんが、薄くし過ぎると良くなりはしますが、ウルフ音が出ます。

良くなる楽器ほど、ウルフ音、音の裏がえり音が出るというのはそのことが原因です。

ですから、裏がえり音が出る楽器は、花窓がとれさえすれば、裏から、木の粉とニカワの混ぜたものを塗って、そこの厚みを作るようにしたり、

皮を張り替える際には、このところに薄い木の板を張り込んで、裏がえり音を止めることも出来ます。

胴の真ん中の、一番へこんでいるところは、振動部分です。

この部分の厚みは通常6ミリですが、硬いブラックウッドなどは、5,7ミリくらいにしますし、

花梨や震度の小葉紫檀などは、多少厚めに6,2ミリぐらいに削ります。

これらの削りのバランスによって、楽器としての二胡の鳴りが決定されるのですが、

木一枚一枚、硬さなどが違いますから、少しづつ弾いてみながら、削り合わせていきます。

ですから相当時間がかかります。

ここまでしなくとも中国の製品のように、機械加工ですべて同じように削ったとしても、そこそこにはなります。

しかし張った皮との相性まで考え、全音にわたって鳴るようにするためには、私のやっているように削っては弾き削っては弾きを繰り返さないと健全には鳴りません。

そうでないと削ってから皮を張り棹を指して、たまたま良く鳴るねということになります。多少ここに問題はあるがということになります。

かなり偶然良い二胡が出来上がることになるのです。

10年も20年もあるいは皮を張り替えさえすれば、100年以上ももつ楽器です。

そのうえ木自体が、特に良い木がなくなってきています。

木は皆の財産なのです。

特にインドの小葉紫檀や、フェルナンブーコなどは、もう日本には入ってきませんし世界中でもますます手に入らなくなっています。

金額の問題ではなくもうないのです。

たまたまお持ちの方偶然にも、かなり安く入ったとしても、それはもう人類の財産と考えて良い物です。

ですから、一台一台を偶然に任せずに、大切に作っていきたいのです。

写真の下の方がインドの小葉紫檀です。光舜堂での販売価格は55万円です(会員は15%オフです)









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