二胡工房 光舜堂

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良い二胡の基準その2蛇皮

2017-08-16 09:35:31 | ■工房便り 総合 
以前、或る楽器屋さんで、二胡を造るための基準の書というのを見せてもらったことがあります。

もちろん、今の中国語で書いてあります、簡体字、これは苦手ですね。

大学の最後は、中国史を勉強していましたから、昔の感じでしたら、

ほぼ意味をつかめましたが、今の簡体字は形に魅力がなくて覚える気にもならないのですが、

その本には、二胡はこのように作るべきと、

様々な各部位の数値が入ったきちっとした、技術書でした。

現在の二胡はすべてそこから出発していて、

各社、胴の大きさなど様々に進化させていますが、

結局私が見てきたところ、昔の、基準書の通り作った二胡のほうが良い音色と響きを持っています。

胴が大きくなれば、その楽器の出す音は大きくなります。

大きな音を求めて、何社かが選択したのは大きな胴でした。

しかし今はその会社のものは、以前の物に近い大きさに戻ってきています。

というように、まだまだ二胡の大きさなど、形もそうですが、

完全に確定した物ではないのです。

ですから皆さんお友達の楽器と比べてみてください、

はっきりと大きさの違うものもありますし、形の違うものもあるのです。

そういう意味では、基準というのは、有って、無い、のが二胡なのです。

なんとなく見ていると同じような形に見えても、よくよく見ると、

頭の形も違いますし、胴の削り具合も、

そして一番は、蛇皮の質と厚みが違う事でしょう。

そうですね、

二胡は、一枚づつ違う蛇皮というものを使うことによって、

いくら基準を設けても、それが実現できないのです。

蛇皮は、実に様々な性質を持っています。

いくら養殖とはいえ、生きているものですから、本当に千差万別。

同じくらいの厚みでも、弾力が違い、

どの弾力もある一定以上の力をかけた時の伸び方もそれぞれ違います。

ましてや、蛇は脱皮しますから、その脱皮後どのくらい経ったかによって皮の硬さは変わります。

その上最終的には人の手で、裏皮を漉いていきます、

この時に中国では刃物を使うみたいなのです。

その刃物の切れ具合によっては、皮の質が変わります。

ある程度、二胡の木工部分は数値で計上を造ることができますが、

蛇皮はそれが成り立たないのです。

だからでしょうか、蛇皮を張る人を二胡師といいますね。

その分からないことを経験と感でよい状態の皮を張るようにしていきます。

ちなみに私は最近は刃物を使わなくなりました、

刃物を使うことによって、蛇皮にダメージを与えやすくなるからです。

それ以来でしょうか、良い二胡の出来上がる確率というのが相当高くなってきています。

またどうやら二胡に張ったのち蛇皮の耐久力が相当上がっているような気がします。

刃物で無理やり裏皮を削らない分、弾力がかなり強く残ります。

たぶん、いま作っている二胡は、私が生きている間に皮を張り替えることはなさそうです。









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