二胡工房 光舜堂

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二胡の修理百科。空弦時の雑音

2013-05-17 07:50:45 | ■工房便り 総合 
空弦を弾いた時に、ビーーンという、金属的な雑音が出る楽器というのは、二胡の7割ぐらいの物に現れます。

指で押さえると何の雑音も聞こえないのですが、指を離すと必ず雑音のする楽器というのが有ります。

原因は二つあります。

一つは、木軸がしっかり棹の穴に入って密着していないことです。

ですから指を離すと、弦が異常に揺れ、雑音を起こします。

木軸の場合は、木軸本体を削りなおして、穴に密着するように、綺麗に丸く削り直します。

金属軸の場合もこれは起きます。

経年変化により、ボルトが内部のナットを削ってしまい、ナットのネジが緩くなるからです。

この金属軸の場合は、ナットを交換するとこの空弦時の雑音というのは直ります。

木軸の先端を持って、上下或いは左右に揺すってみて揺れるもの或いはカタカタと動くものは、まずしっかりと内部にまで差し込んでみましょう。

そうすると雑音が消える場合もあります。

差し込みが甘かったのです。

それでもがガタツキが出る場合、内部に入っているチョークの粉を、すべて取り除きます。

竹の串や、お箸等でチョークをよく取り除いて下さい。

チョークの粉は、木軸の滑りとめに殆どの中国製の二胡の木軸の穴には入っています。

二胡の木は油分の多い木ですから、チョークの粉がその油分で固まってしまい、木軸のガタツキの原因になる場合も多いです。

チョークを取り除いた後に、再度木軸を差し込み、まだガタツキが有るようでしたら、これは木軸を削りなおさなければいけません。

木軸を削りなおして、棹の木軸の為の穴に密着すると、空弦時の雑音は消えます。

これでも空弦時の雑音が消えない場合もあります。

それは、棹の一番下側の、胴より出っ張っている部分のガタツキです。

これも経年変化により棹が痩せることが有りますので、胴の穴との隙間が広がり、木軸のガタツキのある時の雑音と同じような雑音が出ます。

これは、台を外して、その棹の先端と穴の隙間に、木の薄い物を差し込んで固定すると、ガタツキは無くなり雑音も消えます。

(注)木軸には松脂を塗って下さい。また、バイオリンの木軸の回転をコントロールする為のコンポジションという物が、楽器屋さんに販売されています。これは木軸を適度に棹の穴に固定し松脂を付けることで硬くしたり適度に柔らかく回るようにすることのできるワックスです。どうぞ試してみて下さい。
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