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世界共同体憲章試案(連載第21回)

2019-12-27 | 〆世界共同体憲章試案

〈航空宇宙警備隊〉

【第81条】

1.世界共同体は、地球上の防空及び宇宙空間の警戒探査を目的とする常備武力として、航空宇宙警備隊を組織する。

2.航空宇宙警備隊は、平和理事会の監督下に司令委員会を通じて運用される。司令委員会は、運用本部を指揮監督する。

3.司令委員は、7の理事領域圏及び3の副理事領域圏から各一名ずつ平和理事会がこれを選任する。運用本部長は、司令委員会の推薦に基づき、平和理事会がこれを任命する。

[注釈]
 航空宇宙警備隊は、平和維持巡視隊とは異なり、防空及び宇宙空間の警戒探査に特化した航空専門武力である。軍隊の軍種では空軍に近いが、むしろ旧ソ連が軍の一部門として保有していた防空軍に近い防衛航空武力の性格を持つ。とはいえ、これも軍隊そのものではなく、平和維持巡視隊と同系の世界共同体直属常設武装組織である。ただし、平和維持巡視隊とは、司令委員会の構成が異なる。

【第82条】

1.航空宇宙警備隊は、常時、地球上の大気圏の内外を監視するシステムを運用する。

2.航空宇宙警備隊の出動は、平和理事会の決定に基づいて行われる。

3.汎域圏全権代表者会議は、必要と認める場合、平和理事会に対して、航空宇宙警備隊の出動を要請することができる。ただし、特に緊急を要する場合は、全権代表者会議の決定に基づいて出動させることができる。

[注釈]
 航空宇宙警備隊は、平和維持巡視隊のように、個別の紛争案件ごとに出動するのではなく、レーダー監視のような日々の常時監視活動と何らかの事態が生じた際の機動的な対処を任務とするため、事前の運用指針に基づかない即時対応を基本とする。

【第83条】

1.平和理事会は、平和維持活動のために必要と認めるときは、航空宇宙警備隊の部隊を参加させることができる。

2.前項の場合、平和維持活動に参加する航空宇宙警備隊の部隊は、平和維持巡視隊の一部に編入され、平和維持巡視隊運用本部の司令に服する。

[注釈]
 平和維持巡視隊は航空武力を保有しないため、平和維持活動において防空の必要があるときは、航空宇宙警備隊の部隊を編入することができる。

【第84条】

1.航空宇宙警備隊の部隊編成の詳細については、別に定める組織規程により定める。

2.航空宇宙警備隊の基地は、予め世界共同体と協定を締結した領域圏内に設置される。

[注釈]
 特記なし。

【第85条】

航空宇宙警備隊の武装要員は、総定員20万人を超えない範囲内とする。その他、武装要員の募集方法、訓練及び指揮系統並びに調達に関する事項については、第78条及び第79条の規定を準用する。

[注釈]
 要員募集や訓練、指揮系統に関する事項は、おおむね平和維持巡視隊に準拠するが、総定員は平和維持巡視隊より少ない20万人を上限とする。

【第86条】

1.航空宇宙警備隊は、次の場合に限り、標的飛翔体を無力化するための武力行使をすることができる。

① 大気圏外を含む地球上空の飛翔体が、地上への攻撃(武力を用いない攻撃を含む。以下、同じ)を開始した場合
② 大気圏外を含む地球上空の飛翔体が、地上への攻撃を意図していることが明らかな場合
③ 大気圏外を含む地球上空の飛翔体が、他の飛翔体に衝突し、または墜落する危険が差し迫っている場合

2.前項に定める無力化するための武力行使には、撃墜を含む。ただし、飛翔体に人その他の生命体が搭乗していると認められる場合は、撃墜することについて平和理事会の承認を要する。この承認の決議は、持ち回りによることができる。

[注釈]
 航空宇宙警備隊の任務は、名称通り、警戒活動であり、武力行使は緊急性の高い場合に限られる。その場合、飛翔体の撃墜という究極の手段も採り得るが、何らかの生命体が搭乗する飛翔体を撃墜すれば、多数の死傷者が出ることも想定されるため、平和理事会の承認決議を条件とする。

【第87条】

航空宇宙警備隊は、必要に応じ、世界共同体宇宙機関と連携して活動する

[注釈]
 世界共同体宇宙機関は主として宇宙空間の研究調査を目的とする学術機関であり、航空宇宙警備隊とは任務・組織編制を全く異にするが、両者の活動対象は重なるため、情報の共有など必要に応じて連携して活動する。

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