昭和14年3月4日、紀伊半
島を南北に横断する(奈
良県五條市~和歌山県新
宮市)国鉄五新鉄道(五新
線)の建設工事が始まりま
した。
イカダ流しに依存していた吉
野杉や檜などの資源開発や
軍事上の必要もあり、大正9
年には地元有志が、五新鉄
道建設請願のため上京。
鉄道建設の要望は、明治時
代末期からあり、大正9年
鐡道省「鐡道敷設法」には、
建設予定の記載があります。
国道24号線で分断された橋脚
旧紀州街道(五條新町)を
横切る橋脚。
五條新町は、江戸時代の町
並みが今に残る商家町。五
條新町の様子は、日を改め
て紹介いたします。
ようやく建設工事にこぎつ
けた五新鉄道でしたが、戦
争のため資材不足で中断。
再開は戦後の昭和29年。
長い眠りに入りました。
吉野川手前で途切れた、五
新鉄道跡。
吉野川景観
五新鉄道用の吉野川橋
脚(昭和初期)
昭和34年の伊勢湾台風で、
一部が流失のため、全面
撤去。吉野川橋脚は、戦
時中に造られたので、物
資不足からか、鉄筋に混じ
って、竹が骨組みに使わ
れていたそうです。
平成9年には、五新鉄道を
題材にした映画も製作され
ました。「萌の朱雀」(監
督・脚本河瀬直美)
河瀬監督はこの作品で「第
50回カンヌ映画祭」で、新人
監督賞を史上最年少受賞。
主演の五條市出身、尾野真
千代さんも、シンガポール国
際映画祭主演女優賞の栄光
に輝きました。
内容は、地域の自然描写と、
五新鉄道に翻弄される、家
族の姿が描かれています。
江戸時代の五條代官所長屋
門などが残る、史跡公園に
保存されている、大正14年
生まれの8620形蒸気機関車
「金剛ハロー号」。鬼滅の刃
・無限列車編のモデルさん
になりました。
名の由来は、金剛山山麓を
力強く走り続けたたくましさ
と、形式称号から。
今でも元国鉄マンが、定期
的に手入れをされているそ
うです。
もう一回、続きます!
(五條市立民俗資料館、ま
ちなみ伝承館のスタッフの
皆さま、お世話になりまし
た。ありがとうございます)