今年の秋はどこにもいかず、姫さまは受験勉強、王子は退屈、父も退屈の秋だ
数年前、紅葉を楽しむために軽井沢に出かけた
色づく木々に心はあらわれて、ハルニレテラスでもゆっくりとした時間を過ごした
それに比べて、今年の秋は少し寂しい
姫さまと遊べないし、来年になると王子も中学生で部活が忙しくて紅葉どころでは
なくなることは明白なので、よけいに寂しいのだ
この週末、修学旅行用の衣服をそろえるために奥さんと王子とともに買い物に出かけた
今どきの恰好をしてフィッティングルームから出てきた王子はもう中学生の体格で
いつの間にか大きくなっていた
子供というのは気づかぬ間に大きく成長しているものだとつくづく感じた
姫さまはいつの間にか高校生になる、王子ももう王子でなくなってきた
父は少し寂しく、でも少し頼もしく思っている
森の木の実は朽ちた木の上でしか芽吹かないというが、父も母もまだ朽ちたりしない
それでも、背伸びして、背伸びして父や母を超えていってくれ