毎年、夏季休暇をとって2度ほど旅にでる。
一つは家族の旅行で、こちらは子供たちも大きくなったのでそろそろ終わりになる予定。
もう一つは恒例の夏ツーリングだ。
実は今年は行きたい場所があって、ひとりで行くこととしてホテルを予約していた。
レンタルバイクの強みは東京からずいぶん離れた場所でもツーリングを計画できること。
今回は、福岡空港でバイクを借りて、そのまま糸島から平戸に回ってみようと考えていた。
この方面は、関西からも関東からも遠方で、移動時間が半端ないはずなので
誰かに声をかけても同行は無理であろうと考えて一人で行こうとしていたのだ。
博多はもともと好きな街の一つで、今は同期で入社したうち二人がこちらの営業部に勤務している。
なので最終日は博多で彼らと飲むのもよいかと考えていた。
ただ、もともと行きたかったのは唐津の先にある鷹島という島。
ここには仕事で知り合った方がいて、電話で話しているときに「よくオートバイの方が来られますよ」と言い
風光明媚の島として認識している。
島には橋がかかっていて単車であれば、博多からそう遠いところではない。
また、島から平戸方面にはフェリーもあるようで、こちらも是非乗船してみたいと思っていた。
そう計画していたところに芦屋にいるi先輩から、連休にどこか行かないかと声がかかった。
いつものメンバーはそれぞれ予定が入ってしまったようで、こちらに声をかけていただいたのだろう。
明石にいる友人(この友人とはGWに紀伊半島を回った)にも声がかかり、特に予定なく同行可とされていた。
となれば自分の予定となるのだが、さすがにレンタルバイクは少々コストもかかるので、2回のロンツーはしんどい。
どちらか一方を選ぶとすれば・・・せっかく声をかけていただいた方を優先すべきかと考えた。
ちょうど大阪の取引先から打ち合わせの依頼があり「リモートでもよいが、できれば実面で」とされたので
東阪の旅費も工面できたので、大阪からロンツーにでることとした。
3連休なので両親の墓参りもできる。
日頃、なかなか墓参りにも行けぬのだが、今年は母親の命日前後に長男を連れていけたので
秋はいいかなと考えていたが、やはり実の父母なので、機会があれば参っておきたい。
いろいろと条件も整った。さて、どこに行こうか。
先輩たちは特に希望はないようなので、以前計画して却下された淡路・四国の旅を申し出た。
淡路SAで待ち合わせて、そのまま南下して鳴門から四国、四国にはいったら反時計回りで
南国市経由で室戸岬をまわってみることとなった。
なかなか距離のあるツーリングだが、観光の目玉がない。
さてさて、祖谷のかずら橋など立ち寄ってみようか・・・天気次第だなと。
実際には、直前に台風が発生。台風自身ははるか中国の方に流れて行ってくれたのだが
周辺の湿った空気が四国山地にぶつかって大雨となる予報。
観光などする間もなく、ひたすら宿に向かう旅となった。
当日の宿は、室戸市の「MUROTO BASE55」という公営のグランピング施設。
天気がよければ星空の下でBBQ、疲れた体でどっぷりと眠れるはずだったが
雨模様のなか、湿ったライディングシューズでうろうろすることとなり、なんとも気持ち悪い。
BBQの最中に雷がなり、大雨となった。
そのまま明け方まで雨音が途切れることはなかった。
BBQ自体は楽しくて、いろいろ思い出話を重ねて「よいこともわるいことも全て面白い話」として
盛り上がった。
翌朝、激しい雨音で目覚めたが、いつも通り少し早すぎる。
寝床でスマホを使って情報収集しながらずるずると過ごしていた。
その後は、皆目覚めたものの、この天気ではやる気も起こらないので、チェックアウト
時間までここにいて、天気の隙をついてでかけることとした。
朝食を摂って、ゴロゴロしていたのだが10時を過ぎて雨が止んだ。
このチャンスに出発することとなり、急いで支度を整えた。
宿泊費を精算して、単車に荷物を載せた。
いざ出発のはずだったが、先輩が出てこない。
友人が無線で「iさん、足で漕いでるで」と伝えてきた。
どうやらエンジンがかからないようだ。
iさんの話では、バッテリーが上がっているようだと。
昨夜の雨で電装系がやられたのではないかと心配、目の前の坂道で押し掛けしてどうかと
いろいろな案を出していたら、宿のひとがバッテリーケーブルを持っている人を呼んでくれた。
幸い雨は上がったままだ。少し待っていると軽自動車の方がこちらに寄ってきてくれた。
ただ。ケーブルをつないでも少し唸るだけで、エンジンはかからない。
軽自動車のアクセルをふかしてもダメだ。さすがにメンバーの表情が曇りだす。
今度は、軽自動車の方がレッカー車のある自動車屋さんに聞いてくれるという。
こういうホスピタリティは本当にありがたい。
間もなく整備業の方が来てくれのだが、一向にエンジンはかからない。
仕方なく保険会社にも連絡して、レッカー車を手配するのだが、バッテリーを変えれば
解決するという確信はなく、保険の保証距離である徳島市内まで運んで治るものかどうか
判らず、いろんな方法を検討した。
結果的に、先輩が別に加入していたレッカーサービスであれば、時間はかかるが購入した
店まで運べるということがわかった。
そして、レッカー車が来るまでの間は鍵とともにこの宿に単車を預かっていただいて
引き渡しててただけることとなった。
やどの方の好意てせ、事務所のスペースに単車を入れさせていただきようやく出発。
本当にありがたいことで普通なら考えられない対応だ。
この宿にはもう一度天気のよいときに伺おうと思った。
さてさて、単車を預けたあとは自分のレンタルバイクにi先輩を乗せて雨模様の道を
鳴門の宿を目指して走り続けた。
昼食は、雨雲が少し緩んだ日和佐のお好み焼き屋「天花」さんというところで焼そば。
腹を満たしたら、また走っていくだけ。紀伊水道に面した風光明媚なサンロードも今回は見送り。
小松島から徳島、市内の混雑を避けて高速道路でそのまま鳴門北ICまでは高速道路。
2日目の宿はi先輩が手配してくれた渦潮を見下ろせる絶景の宿。
鯛づくしコースということで、美味しいお刺身などをいただいたが、雨模様の中で久々の二人乗り
高速道路で二人乗りというのは初めての経験で疲れていたのか、なんだか食が進まなかった。
鳴門大橋のたもとに位置するこの宿は、渦潮の鳴門海峡を眺めながら入浴できるお風呂も気持ちよく
本来ならば、得意の朝風呂に浸かってゆっくりするのだが、連休最終日はお墓参りの予定。
レンタルバイクも9:30までに返すことになっている。
前日のうちに、自分だけ朝早く出てしまわなければならないことを詫びた。
先輩は二人乗りで帰るしか方法がないので付き合っていただけるという。
あとの友人も早朝発は全く苦にならないとのことで、結局夜明けごろに揃って出立することとなった。
いつも自分のことばかり優先となり、皆さんに気を遣わせてしまうのは申し訳ないのだが
今回は少し予想外の展開となってしまったので、勘弁してもらおう。
最終日、夜明けに支度を整えて人気のない鳴門大橋を渡った。
少し時間に余裕が生まれたことで、南淡三原ICから淡路島の西海岸を回って帰ることにした。
西海岸には苦い思い出がある。
もう40年も前のこととなるが、夏休みに今回同行してくれた友人と女友達を伴ってこちらの
方に海水浴に来たことがある。
女の子を誘って海に行くなどというシチュエーションは初めてのことでなんだか舞い上がって
しまっていた。
当時は、なかなかの田舎で確か食事もままならなかったような記憶があるが、噂とおりに現在は
まばゆいばかりのおしゃれな店舗が海外沿いに並んでいる。
早朝だったので立ち寄ることはないが、隔世の感が極まっていた。
以前、テレ東の番組で淡路島の特集を見て、もう一度行ってみたいと思っていたところだ。
昨年、ツーリングのルートに組み入れて提案したが、リーダー的存在の先輩に軽く却下された
ので、ここに来ることができなかった。(そもそもツーリング自体中止になった)
少し恨み節もあるが、早朝の海岸の道はすごく心地よく、これこそがアミべのツーリングだ。
あのまま明石にいれば、あのまま、あのまま・・・過ごしていれば、地元に残って毎週のように
こんな海岸に散歩にこれたのだと想像してしまった。
西海岸を岩屋まで走り、少々ガソリンの心配をしながら明石海峡大橋を戻って、先輩を送って
このツーリングはおしまい。
大阪空港でレンタルバイクを返して、そのまま電車でお墓参り。
翌日は仕事、なにもなかったかのように梅田のサテライトオフィスで会議に出て、午後は取引先
でのミーティング。
早めの新幹線に振り替えてビールをあけながら帰宅した。
今年の夏はこんなツーリングで終わった。
淡路島はもう一度走ってみたい。
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