今週末は姫さまの参観日だ
なんとも云えない疲れをもって帰宅して坂を登る
ふと我が家の灯りか目に入る
王子の笑顔が眼に浮かぶと自転車をこぐペダルにもなぜかしら力が入る
子どもたちと過ごす日々は楽しい
20kgに満たない二人の体を抱き上げるときが至福の瞬間だ
本書は神戸市須磨区で発生した例の事件をモチーフにしている
人の親になれば、あの事件について一方的に語れる人はいないだろう
我が子が、あの二人のいずれになっても論じようのない悲しみに
とらわれるはずだ
物語の中、主人公の仲間たちがよなよな裏山の楠木のもとに集まり
語り合う場面があり、重要な位置を占めている
子どもから大人への移行期に、仲間が集まり、語り、秘密をもつことは
多くのひとが経験していることではないだろうか
父も中学生のころ、犬の散歩にかこつけて男女数人の仲間と近所の
マンションの屋上に集まっては色んなことを語り合っていた
親たちのこと、異性のこと、進学のこと ・・・・ 明日がある喜びと
明日がある辛さの両方が、ときに何時間も話し続けさせるのだった
家にいても息苦しくて、理由のわからない焦燥感が僕たちを
外の世界に導いていたような気もする
今、あの頃の仲間たちが何をしているのかも全くしらない
生きているのかいないのか
あれほど熱く語り合った友だちなのに、嘆きあった友だちなのに
いったいどこに行ってしまったのだろう
明日は姫さまの参観日
あと7-8年であの頃の自分たちの世代になる彼女たちだが
そのときにはこの「父親」が息苦しくさせるのだろうか