( 紫陽花 )
ここのところ梅雨の走りのような天候で例年の事ながら腰痛が少し
出始めました。忙中俳在りのころころの六月も二つのネット句会からスタートです。
期待してゐしさくらんぼ句座に出ず 桑田青虎
白檀の扇子うごきて句座香る 松下菜穂子
ころころの拙句はともかく、ころころ特選の一句を作者に無断で書いてしまい
ましょう。
Y 句会 ◎水羊羹むかし都電の交差点
冷房も冷たいスイーツも無かった頃、氷の冷蔵後で冷やされた水羊羹は
贅沢なものでしたね。全国区のお句ではないかもしれませんが、幼少を
東京で過ごされた方々には懐かしい景色が見えるのではないでしょうか?
初見で門前仲町交差点のいり江や本郷三丁目交差点の藤村羊羹そんな
お店がふっと浮かびました。作者が入った甘味処で友人かご家族かに
「ここは昔都電がひっきりなしに通って・・・」などとお話が弾んでいたのでしょう
水羊羹と都電の取り合わせが唸らせました。
M 句会 ◎貨物車の鉄の匂ひや梅雨曇
この選評はネット通りに写します
「梅雨時は匂いに敏感な季節とも言えるでしょう。仕事柄建設現場に行きますが
それこそ鉄の匂い、コンクリートの匂い、油の匂いは特に強く感じます。
駅のホームでの事でしょうか?普段は感じない貨車に鉄の匂いを感じたという
のです。貨物車の重量感も梅雨曇の季語の斡旋でよく響き合って揺るがないと
特選に頂きました」
この二つの句会が全く異質な句会で、毎回悩まされます。
Y 句会は感性の修練に、M 句会は客観写生の修練にとても勉強になって
います。少し驚いたことに今回のM句会にころころがY句会に出して良い反応を
頂き、それを現俳のIT句会へ出した句に下五(季語)だけが違っていたものが
出ていました。現俳でも多くの方に採って頂いた句だったので少々驚きました。
でもそんなのある事ですね。 下敷きが拙句なら喜ばなくちゃいけないのかも・・・
赤門は古し紫陽花も古き藍 山口青邨