久々の墨書
豚も煽てりゃ木に登る、ってころころです。
字が上手いなんて誉められた事が無い、いつも味のある
字ですねぇ そりゃ皆さん一人一人の個性ってもんで
そう言う意味では、誰でも味のある字を書くわけで・・・
ぶつぶつ言いながら掲げちゃいました。
さて、今日は旅での収穫の一つについて。
季語を体感するということ、夏霞、梅雨出水、梅雨晴れ
そして、俳句の知識。漁師の小路、出水滝、
言葉で説明するなら季寄せや辞書でも出来るので省略
しますが、この体感は俳句連衆との旅でなければ得られない
と思う、家族旅行、社員旅行、はたまた一人旅でも無理かも
知れない。是非また計画してみようと思っている。
八方に青田の匂ふ蕎麦処
身の幅に漁師小路の風涼し
掌に雫のごとし青蛙
今回の旅後の句会での拙句です。
句の良し悪しはともかく、一句一句が思い出となり
何年かたってもその場の景色が甦ることと思います。
書架 2
昨日のブログは旅に同行された連衆のお句について
書きました。今日はそのほか今回の兼題句会の佳句を
書き込みします。
母がりの蚊帳吊る釘の低さかな ◎◎○○○
Tさまのお句、普段からお母さまの身の回りをしっかりと
見守られている作者の優しさが覗えますね。
きっとお母さまは生活のしやすい、高さや位置など
身幅にあった工夫をされているのでしょう。
その工夫を鋭く観察されたTさんのお手柄のお句です。
「母がり」という斡旋はころころには知識不足で出来ません。
Tさんは連句の同人でもあり、語彙の豊かさを俳句にも
活かされ羨ましく思います。
蝙蝠の庚申塚を守りゐたる ◎◎○○○
Aさんのお句、今回の兼題句会のころころの特選1でした。
正直にいうと私は「蝙蝠」をどう俳句に仕立てるか、
分かりませんでした。そしてHさんのお句
蝙蝠や森をそびらに漁師町 と掲句によって勉強させて
頂きました。やはり蝙蝠が見られるという環境は木々が
豊かなところ、昆虫や鳥も多いはずです。
その豊かな命を人間世界の中に詠み込めればと考える
ようになりました。蝙蝠はとても人間世界に身近だった時代
があったのです。掲句は一句の中にその豊かな自然と
庚申塚を大事にされている人々の生活をもみせてくれました。
勉強になりました。
俳句はここから(マイデスク)
先日の出雲崎の旅の後の句会となった。
さすが連衆、素晴らしい収穫を得ている。
花ねむや持仏小さき良寛堂 ◎◎◎◎○
夏潮や海を見晴らす無人駅 ◎◎○
夏雲の影走りゆく大青田 ○○○
◎特選 ○一般選
3句とも、Mさんのお句、今回の句会はMさんの独壇場
だった。他の吟行句会でもご一緒するが吟行句は旨い。
結社でしっかりその辺は勉強されているようだ。
ご本人は3句目の季重なりを気にされているが、「夏雲や」
なら季の比重、眼目が変わってしまうので気にするが・・
ただ類句は多いかもしれない。
蝙蝠や森をそびらに漁師町 ◎◎
Hさんのお句、佳いお句です。私が頂かなかった理由は
「や」でした。今回の兼題「蝙蝠」にかなってはいますが、
蝙蝠の森ではと提案しました。
長くなるので書きえませんが兼題を活かすとなると
そうなると考えます。でもこのままでも佳句です。
あじさゐの奥や掌に載る佐渡島 ◎◎○
Jさんのお句、一緒に出かけた連衆には景色は
歴然です。掌に載るほどはっきりと近くに佐渡島が
見えました。私たちの眼前には紫陽花が見事でした。
東京ではもう紫陽花が終わっている時期なので
新たに感動がありました。はたして同行してない方に
「掌に載る」が伝わるか心配です。
日本海に落つるほかなし出水滝 ◎◎○○
Sさんのお句、私たちが出発したのは梅雨の最中
旅程の二日間だけが不思議と晴れていました。
道中垣間見る川(信濃川)は梅雨出水と言っていいほど
水量も多く、土色に濁って波立つほどの流れでした。
私たちがこの滝を見たのは弥彦の山頂からでした。
日本海に面する崖からその濁った水が滝となって
海に吐き出されていました。きっと普段は滝ではないかと
思います、梅雨の出水の水量によって現れたのです。
日本海という大きな景色を詠いながら、それに負けない
眼目にSさんの俳句の力を感じます。
広島原爆ドーム
あの雲はいつか見た雲原爆忌 塩谷めぐみ
1945年(昭和20年)8月6日午前8時15分、米軍の爆撃機
エノラゲイから放たれた原子爆弾「リトルボーイ」が広島上空に
炸裂した。熱線と衝撃波によって市街が壊滅し約14万人の
死者を出した、その後原爆症などので亡くなった人を含めると
約25万人になる。
私の俳友が広島にいる。現在俳誌「秋」の同人
彼女の娘さんに血液の病があり、それとの因果を
感じる。彼女は今回の「被爆認定の訴訟」での内容
爆心地からは離れていたが父親を探す為に、母親の
背中で市内に入っていたそうだ・・
世界のあちこちで紛争の火種は尽きないが
全てを一瞬にして無にしてしまう原爆には特に怒りを
感じる。 黙祷
朝蝉の声ふりしぼり原爆地 ころころ
狐のかみそり(赤塚植物園)
今日は何回暑いと言っただろう・・・
梅雨が明けて本格的な夏を感じた一日でした。
今日は外回り・・右手の手首うえ15センチから日焼で
真赤です。
八雲の句会の選句が始まりました。
今回もさすがと思わせる作品の数々。
総数56句は選句選評に丁度いい数。
現俳の選句は毎月970句ほどの中から5句ですから
選句に四日はかかってしまう。その上目の疲れが
あれば、え~い、なんて選句もしていまう。
我々の句会の真髄は逆選にある。
「ここはこうしたら・・」「こうだから採れない」など等。
これは連衆がお互いに顔を見ていることと信頼に
他ならない・・といっても、ころころは繊細なので
結構落ち込むが人に厳しく自分に優しい性格は
今更でないので治らない。
相槌の膝を打ちたる扇かな ころころ
大葉擬宝珠の葉(赤塚植物園)
添寝子に揺り起こされし昼寝かな ころころ
新松戸レッドポニー句会8月抄(昭和59年)より
母長く臥すのも長寿天瓜粉 茶能行
甲虫曲がりそこねて落ちて来し 辰巳
秋蝶の波に漂ひ沼光る 我人
古寺に竹の皮はぐ音を聞く 余年
かなかなの道を辿れば隠れ沼 一幸
朝顔の花影うつる厨窓 ツル
朝顔の芯冷たさに魅かれをり 矢須子
何となく唄あるひと日青葡萄 寛歩
人肌に温み定まらぬ夏の燗 雅子
塩なめて人の道説く冷し酒 野仏