6月20日

2009-06-20 18:36:31 | Weblog

        ( 鉄砲百合 )

 

朝市へ鉄砲百合を肩抱へ        矢島渚男

 

鉄砲百合固き莟は天に向く       柴田奈美

 

食卓の鉄砲百合は素つぽをむく    加倉井秋を

 

 ☆ 朝までかかった仕事の後は目ばかり疲れ,頭は冴え渡っている
 布団に入っても眠られず、いっそのこと句会へと行って参りました。

 句会の成績は何となく名前を呼ばれました、やはり選句、選評にあって
 客観写生について、主観についての話しとなったことで楽しい句会に
 なったような気がします。そのなかで I 同人が仰った「客観写生は目的で
 はない」という言葉に少し安堵の気持ちになりました。やはり自分の思いを
 詠って(物に託して)こそ詩が生まれるのではと、今の結社に入会してより
 窮屈な気持ち、何か物足りなさを感じていたのでした。
 昨日の私の拙句の一つ

    蔦若葉金色堂へ坂また坂

 かろうじて M さんに拾われました、M さん有難うございました。さすがです。
 この一句には時間がかかりました。 句の出来栄えは兎も角、 原句から
 このような推敲で進みました。

 

     金堂へ坂また坂や蔦若葉   
         ↓
    
金色堂へ坂また坂や蔦若葉
         
    
蔦若葉金色堂へ坂また坂 

 きっと原句ほうがおさまりがいいと仰るかたも居られましょう。
 中尊寺金色堂には秋も深まった頃に行きました。紅葉も蔦紅葉も,見事なもので
 ただ,山の寺ですからひたすら山道を登って行きます。
 そんな疲れも金色堂に入ると皆吹き飛んで藤原の栄華にただただ驚きでした。
 蔦若葉はとってつけたような季語ですが、秋の蔦紅葉からの連想的写生です。
 俳句は季語を詠うものと日頃行っているころころですが、詩勝ちの句もやはり
 今の力では理想と現実のギャップは否めないところです。
 M さんもきっとその辺を買って採ってくださったとひたすら感謝するばかりです。
 このように自分の投句のなかで多く点数が入った句よりたった一人の選者に
 恵まれたことが嬉しい時もあります。形は不揃いでも少し主観が物に託され
 たような気がしています。
  つまらない事ですが6音節でないと坂が登りきれませんでした。
 

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6月19日

2009-06-19 00:14:05 | Weblog

      ( 鬼百合 )

 

しづけさは鬼百合の丈そのあばた       森澄雄

 

山霧の引きゆく迅さ小鬼百合          星野恒彦

 

鬼百合に白き雨降る吉野村            山田弘子

 




 

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6月18日

2009-06-18 00:12:04 | Weblog

      ( 小甘茶の花 )

 

山紫陽花の仲間です、葉を乾かすとフィロズルチンという物質が生成されて甘くなり
、これを煮出してつくるのが,花祭り(=灌仏会;お釈迦様の誕生祝い)で使う
甘茶です。甘味飲料や加工食品の甘味原料として使われることも多いです。

 

雨にぬれつ甘茶の花は眠りたる     田中冬二

 

裏返りては花了ふる甘茶かな       手塚美佐

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6月17日

2009-06-17 00:29:32 | Weblog

        ( 鹿の子百合 )

 

一雷の加はりいよよ男梅雨      五十嵐哲也

 

不眠者に深夜とどろく梅雨の雷    相馬遷子

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6月16日

2009-06-15 23:57:08 | Weblog

      ( 泰山木 )

 

泰山木家出るたびの遠目ぐせ        野沢節子

 

泰山木の花ありつたけ崩壊秘め       加藤楸邨

 

日本武尊泰山木ひらく             原田喬

 

あけぼのや泰山木は蝋の花         上田五千石

 

       ☆   今日は和菓子の日ということです。

848年(仁明天皇の嘉祥元年)6月16日に、16個の菓子類を神前に供え、疫病退散を祈ったという嘉祥菓子の故事に由来するものです。
夏の和菓子も多くの季題になっています。お菓子ということで句が甘くならないよう
に詠むのもこつでしょう。

 

白玉や子のなき夫をひとり占め         岡本眸

 

ひえびえと吉野葛餅雉子鳴く           飯田龍太

 

葛切を水の流れのさまに盛り           檜 紀代

 

蜜豆に話のつきぬ旅の果             沼尻ふく


 
言ひにくきことさりげなく水羊羹          樋口久子

 

 


どうでしょう?それぞれの季題のお菓子の少しの趣の違いを
読み解くのが面白い。

白玉や子のなき夫をひとり占め    これを
蜜豆や子のなき夫をひとり占め   やはり白玉が動かないわけが分かりますね。
                            

 






 

 

 

 



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6月15日

2009-06-14 23:44:13 | Weblog

        ( 禊萩・みそはぎ・盆花 )

 

にぎやかに盆花濡るる嶽のもと        飯田蛇笏

 

みそ萩のはつはつ咲いて草の丈        滝 春一

 

家遠しみそ萩つむは孤児か                      幸田露伴

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6月14日

2009-06-14 00:30:36 | Weblog

      ( 大山蓮華 )

 

うつむきて大山蓮華香りけり      久本 澄子

 

大山蓮華渓のくらさを鳴る水音     土屋紫信

 

大和にどこか大山蓮華見て忘る     森澄雄

 

  ☆ 1940年の6月14日隅田川に勝鬨橋が開通しました。
   また,今日は築地波除稲荷神社のお祭の最終日です。築地を訪れた方には
 あの大きな獅子頭を思い出されるでしょう。あの雌雄一対の獅子頭が担がれます

 

    勝鬨橋梁撥ね上りたり炎夏 永井龍男

 

昨日、ブログに桜桃忌の句の鑑賞を書いていながらふと気づいたことに
鑑賞は予備知識が必要か否かということでした。
結社誌などにある鑑賞文はそれなりに必要にもおもいますが、
誰が詠もうと,一句は一句。色々な文献を読んでも今だ高名な俳人の数句の
句意を書けないものがあるそうです。
私も虚子の「流れ行く大根の葉の早さかな」という有名な一句の良さが
分からないのです。勉強不足といえば返す言葉もないのですが・・・
他にも数多くあります。
俳句作者の感性はその生い立ち,生き様に、同じく鑑賞者の捉える感性も
同じで、当然ながら鑑賞に正解を出すのは作者だけなのだろうと思います。
ころころ流の考えでは俳句の上達の一つの学びに鑑賞を書くという作業が
絶対に必要に思っています。間違ったら笑われるなどと思わず、自分流の
鑑賞を是非心がけてみては如何でしょうか





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6月13日

2009-06-13 00:12:05 | Weblog

      ( 桜桃忌・太宰治の忌日)

今日6月13日は太宰治の忌日,桜桃忌です。明治42年6月19日青森県北津軽郡
金木村(現五所川原)で生まれる。本名津島修司39年の生涯で4度の自殺未遂を
行い昭和23年6月13日玉川上水にて愛人の山崎富栄と入水心中でこの世を去る。

 

夜学生教へ桜桃忌に触れず     沢木欣一

 

他郷にてのびし髭剃る桜桃忌     寺山修司

 

桜桃忌よりも富栄忌徳利置く     手塚美佐

 

とても胸を打たれる3句です。それぞれが語りかけてくることを私感ですが
少し書いてみました。



一句目 桜桃忌には触れずと固い意思をも感じさせます。作者には太宰の文学を
崇高する気持ちが大いに有った事の裏返しだったのかも知れません。しかし
心中という結末を納得し美化することが出来なかったのでしょう。
純粋に太宰の文学を愛した人々にとって心中は余りにも俗な事だったのでしょう

 

二句目 この句は修司の強烈な心の暗示と捉えました
他郷は他人事、髭を剃るは修司自身の行動と置き換えて考えてみれば
太宰の行動は自分にも起こりうる日常、つまり寺山修司の死への美学も
見え隠れしているようにも、修司自身がそれを確認しているようにも感じるのです

 

三句目 この句は桜桃忌にたいする作者のメッセージと感じました。
俳句の世界では桜桃忌という季題を少し美化されて詠まれているようにも感じる
事がありますが,太宰の死とともに山崎富栄という一つの命も同時に失われて
いる心中という結末に、またその美化にも怒りを感じているようにも取れます
下五の「徳利置く」に作者の強い主観を感じました。

 

植物的には桜桃はゆすら梅の実ですが、この太宰の桜桃はさくらんぼの事です

奇しくも今日13日は大好きだった祖母の命日でもあります。

       

 

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6月12日

2009-06-12 00:24:34 | Weblog

      ( うつぼぐさ・靫草・かこそう・夏枯草 )

 

日当たりのよい路傍・野原・丘陵などに生える多年草です。茎の断面が四角形です。
 靫というのは,花穂が弓矢を入れる靫に似ているためだそうです。
いよいよ東北地方まで梅雨入りだとか、俳句をする人にとっては大きな兼題を
頂いたようなものですね。

 

夏枯草の畦に座れば雨落つる        西口百艸

 

青鵐鳴き岳にしづかな梅雨入り雲      加藤 岳雄

 

馬洗ふ梅雨のすげ笠最上川         細見綾子

 

梅雨秘仏朱唇最も匂ひける         水原秋桜子

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6月11日

2009-06-11 06:39:04 | Weblog

        ( 花石榴 )

 

  ☆ 現在東京文京区では「文京あじさい祭」が開催中です
    
http://collabit.net/gnkb01/pub/sheet.php?id=14180

    白山神社はころころの学び舎(高校)の裏で、沢山の
    種類の紫陽花が処狭しと盛りとなっています。

 

見上げては人みな通る花石榴       佐藤 ともえ

 

花石榴すでに障子の暮色かな       加藤楸邨

 

子のあらばつけたき名あり花石榴     片山由美子

 

若者には若き死神花石榴          中村草田男

 

    入梅を告ぐオムレツの黄なる朝      山田弘子





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