踊る小児科医のblog

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「ニコチンを他の目的に活用できませんか?」=小学生の疑問に答える (8)

2015年01月18日 | 禁煙・防煙
 ニコチンの薬としての作用を医療のために使うことができないか、という考えはこれまでもありましたが、現実には禁煙治療で使われるニコチンパッチ(貼り薬)やニコチンガム以外には何の役にも立っていません。

 ニコチンそのものは、授業でお伝えしたよう、タバコ1本で赤ちゃんが死亡し、3本で大人が死亡するほどの猛毒です。禁煙治療のためのニコチンパッチも、体重や喫煙本数によって薬の量の調節をしないと、頭痛や吐き気、倦怠感(けんたいかん)などが強く出ることがあり、微量でもニコチンを体に入れるのは危険なことなのだと実感しました。

 なお、ニコチンの毒性を低減してつくられたネオニコチノイドという種類の物質が農薬や殺虫剤として世界中で使用されるようになり、環境への影響が新たな議論になってきています。ニュースでも伝えられた「ミツバチの大量死」との関連が指摘され、ヨーロッパでは規制が強化されてきていますが、日本では逆に規制を緩和する方向になっているようです。この点についての議論はまだ決着していませんが、注意を払っておくべき問題としてここに追加させていただきました。

「タバコの種類によって害に違いは?有害物質のないタバコは?電子タバコは?」=小学生の疑問に答える (7)

2015年01月18日 | 禁煙・防煙
 タバコの種類による害の違いはありません。全てのタバコは有害です。この点については、『タバコと健康』というパンフレットでも説明されているので省略しますが、マイルドとかライト、スリム、低タールなどといったタバコの商品名や説明にだまされてはいけません。

 授業でもお話ししたように、日本で一番売れていた「マイルドセブン」が「メビウス」に名称を変更したのは、「ブランドイメージを一新するため」ではなく、ヨーロッパやアメリカでは「マイルド」という名称を使うことが禁じられたからなのです。そんなことは、新聞でもテレビでも報じられません。一番大切なことは、表立って報じられないのだという例として覚えておいて下さい。(別の例として原発事故の時の政府の説明をお示ししたことを覚えているかと思います。)

 ここ1~2年で、アメリカやヨーロッパ諸国では、中国製の電子タバコが未成年や若者の間で流行してきて大きな問題になっています。電子タバコにも程度の違いはあれニコチンや発がん物質などの有害物質が含まれているので危険です。

 紙巻きタバコ(シガレット)や電子タバコだけでなく、「噛みタバコ」などを含めて、全てのタバコ製品は有害であり、安全なタバコというものは存在しません。

 全てのタバコ製品は、「喫煙者の健康のため」でも、「喫煙者が禁煙しやすくするため」でもなく、タバコ会社が利益を得るために売られているのだということを忘れないようにして下さい。