この暫定的・個人的なまとめは、報道やネット上の情報から現時点での判断を記したものですが、情報に不確かな点がまだ多いことに加えて、一小児科医の判断ですので誤りがある可能性があることを最初にお断りしておきます。
このページは書き換えずに、変更する必要があるときにはブログの新しいentryとして追加更新していく予定です。
(要点だけをまとめていくつもりが長くなり重複も多くなってしまいました)
ポイントは、「人-人感染」の有無、軽症例の有無、野鳥の調査結果ですが、前二者は現時点では否定的、野鳥の情報は全くわかりません。
感染ルートは依然として謎のままです。
ウイルスはどこから出て来てどう伝わったのか。
■ 感染者数・死亡例
4月10日現在、感染者は33人で、9人が死亡、3人が軽症(うち1人が軽快)という情報がありましたが、残りの21人の重症度の詳細は未確定のようです。
(9日のWHO発表では24人中7人死亡、14人重症、3人軽症)
33人中9人が死亡という数字は相変わらず高い割合だが、これは中等症・軽症の感染者がほとんど見つかっていないことによるものと思われる。
(→「人から人への感染」および「病原性」)
■ 人から人への感染の有無
WHOによると、600人以上の接触者が経過観察されており、早期に確定された患者の接触者で症状があった人の調査が進められている。現時点では、人から人に感染が続いているという証拠はない。
まだ断定はできないが、インフルエンザは一般に感染力が強く、潜伏期も2~3日で、症状がある期間が1週間くらいなので、10日くらい観察すれば大体の傾向は判断できるはず。
(4/10現在で最初の発表から10日が経過した)
人から人への感染の有無を確かめるためには、感染者同士の接触の有無、周囲の接触者の経過観察と共に、軽症者の存在を調査することが肝要。
人から人への感染があるのなら、どんなに病原性が強かったとしても、中等症や軽症で診断されないまま治っている人がピラミッド型に相当数存在するはず。検査診断はできなくても症状などの調査で判断できる。軽症者がほとんど確認されていない現状では、人から人への持続的な感染は否定的。
※追記→抗体検査でこの型に対する抗体保有の有無を調べられるようだ。
WHOは9日、「2家族で人から人への感染が疑われる事例がある」ことを明らかにした。実際に人から人へ感染したのか、共通の動物(鳥・豚など)から感染したのかもわからないし、他の感染症の可能性もあるだろう。
限定的な家族間感染があった可能性は否定できないが、それ以上続いていないのであれば、それだけで過剰反応すべきではない。
今後、新たに感染者の体内で別の変異が起こるといったことがなければ、現時点では人から人への感染性はないか、あっても限定的なものと推測される。
■ 遺伝子解析
遺伝子の解析で、混合した3種類のウイルスの遺伝子がはいずれも鳥インフルエンザ由来だというのは良いニュースと言えるだろう。ブタの体内で鳥とヒトのウイルスとが混合してくると、2009年のようにパンデミックの恐れが出てくるが、今回のは正真正銘の鳥インフルエンザウイルス。
ただし、国立感染症研究所の分析で、このウイルスの遺伝子が人に感染しやすく変異していることが解明されているので、鳥から人への感染は今後も続く可能性はある。
上記のように患者の体内で別の変異が起きて人から人への感染性が獲得される可能性は否定できない。
また、3種類の遺伝子は浙江省、韓国、長江より北という別々の地域の野鳥ウイルスに由来しており、このH7N9が野鳥の間で変異して広がり、渡り鳥または家禽類を介して人に感染したものと推測できる。
■ 「鳥インフルエンザ」か「新型インフルエンザ」か
現時点で人から人への継続的な感染が認められていない状況では、感染者数や死者数がどれだけ増えようとも、「鳥インフルエンザ」に人が感染しているという判断であり、鳥インフルエンザが変異して人から人への感染性を獲得した「新型インフルエンザ」の流行ではない。
一部のメディアで「新型鳥インフルエンザ」という用語を用いているのを目にしたが、「鳥インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」の違いをよく理解していない人に誤解を与える恐れがあるので使わない方が良いだろう。
■ 家禽類(ニワトリ、ハト、ウズラなど)
この点についての情報が錯綜している。
これまで、市場のハト、ニワトリ、ウズラなどでウイルスが検出され、上海市では約10万羽が殺処分されたと伝えられている。
一方で、家禽類から7千以上のサンプルを調査した結果、H7N9は検出されていないという新たな情報も報道されている。
感染者の情報でも、家禽類との接触が明らかな人は一部に限られるようであり、市場や養鶏場だけが主な感染ルートだとは考えにくい状況にある。
■ 野鳥(ガン、カモなど)
これが一番重要なポイント。
鳥に対する病原性がなくて野鳥の間で広がっているなら手の打ちようがない。
(これだけ人の感染者が出ているなら既に相当前に変異が起きて広まっていたと推測するのが普通)
野鳥の調査も実施中だと伝えられているが、その情報がまだほとんど伝わっていない。
4/10の報道で、現時点では検査した野鳥からウイルスは検出されていないとのことだが、今後の情報に注意が必要。
「遺伝子」の項に書いたように、別々の地域の野鳥由来の3種類のウイルスが混合してることから、各地の野鳥がシベリアで交雑して変異し、それが中国に戻ってきたと考えられる。
だとしたら、中国の別の地域だけでなく日本にも既に侵入している可能性はあるのだが、この地域に限局して発生している理由はわからない。
日本でも野鳥の調査を開始すべきだと思うが、なぜか誰もそのことには触れようとしない。
(実際には継続的なモニタリング調査は行われているはず)
なんとなく、原発安全神話や原発事故報道を思い起こさせる。
■ 病原性は
33人中9人が死亡という高い割合をみると病原性が高そうに思えるかもしれないが、分母となる全体の感染者数が把握できていないため、まだ判断はできない。
感染者数は少数にとどまり、感染すると高い割合で重症化する可能性と、診断されていない中等症・軽症者が多数いて、そのうちの一部だけが重症化しているという2つの可能性があるが、これまでの情報から判断すると後者の可能性は低い。
依然として分母は不明だが、いったん感染して発症するとある程度の高い割合で重症化すると考えた方が良いだろう。
■ 感染力は
これまで人の間で明らかな流行を起こした A型インフルエンザはH3N2(A香港型)とH1N1(スペインかぜ、Aソ連型、H1N1pdm2009)の2種類しかない。
15年以上、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の監視が続けられてきたが、H5N1が変異してパンデミックを起こすことはないのではないかというのが最近の見方だ。
今回のH7N9が人に感染しやすく変異したという点には注意が必要だが、このタイプが大きな流行を引き起こす可能性は非常に低いだろうと第一報の時から考えていた。
これまでの調査からも、人から人への感染が持続的に起きている可能性は低く、現在のウイルスのまま新たな変異がなければ、パンデミックを心配する状況にはない。
準備はあくまで「次の変異」に備えてのもの。
■ 今後の予想は
このウイルスが家禽類だけでなくガン・カモなどの野鳥の間で広く浸透しているとすれば、市場の鳥をいくら殺処分しても自然界から消え去ることはなく、手の打ちようがない。
(だから、ウイルスの在りかを調べることが最も重要)
渡り鳥が北に帰ってシベリアに集まり、中国からの渡り鳥も日本からの渡り鳥も交雑してウイルスが浸透し、変異も起こる。その鳥が、また中国や日本に戻ってくる。
その中で、散発的な、あるいは集団的な人への感染が今後も繰り返される可能性は否定できない。
ただし、このタイプのウイルスがずっと鳥の間で優位を保って生存し続けるかは全くわからない。新しい型や元からあった型に駆逐される可能性もある。その可能性の方が高いのではないかと予想してる。
いずれにせよ、野鳥の調査結果がまだほとんどわかっていない状況では、何も判断できない。
■ 謎や特殊要因は
感染源や感染経路がほとんどわかっていないこと。
これは、単純に市場、養鶏場、野鳥のどれかに限定できず、感染源が複数、多数存在することを示唆している。
だとすると、非常に厄介。
ウイルス操作(バイオテロや封じ込めミス)などの人為的要因も頭の片隅には置いておいた方が良いかもしれない。
■ 新型インフルエンザ特措法適用?
メディアは法律の適用範囲をちゃんと確認しなさい。
この特措法が適用されるのは、「人-人感染」を起こす「新型インフルエンザ」または不明の感染症であって、さらに季節性インフルエンザよりも多数の死者を出すことが予想される場合に限定されます。
現時点で、この「鳥インフルエンザ」対策の根拠とはなり得ません。
「鳥インフルエンザ」対策は現行法で行われます。
特措法自体は昨年成立して今年5月に施行予定だったので、それを1ケ月前倒しすることは特に問題はありません。
(法律自体に問題が非常に多いのですがその議論はここではしません)
この「鳥インフルエンザ」に更に変異が起こって「新型インフルエンザ」になる可能性を想定して準備しておくことは大事ですが、今回の「鳥インフルエンザ」対策のために特措法施行を早めるという報道(あるいは政府発表)は明らかに間違っています。
■ ワクチンの開発
国立感染症研究所は中国からウイルス株を入手でき次第、新たなワクチン開発に入ると発表している。米国でもワクチン開発の準備に入っている。ただし、これはあくまで人から人への感染が認められるようになった際に流行の拡大を抑制するための準備であって、現状の「鳥インフルエンザ」の段階でワクチンが接種されることはない。
■ 抗インフルエンザ薬
タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は試験管内で効果がみられたという。実際に治療した際の効果についてはまだ情報が伝わってきていない。
■ 中国への渡航
出入国とも制限する必要はありません。市中でのマスクはほとんど意味がない。
鶏や野鳥に近づかないのは当然として。
また入国者に対する検疫をし始めないか懸念されます。
2009年のときは無意味な過剰反応で世界に恥をさらした。
そうは言ってもこの国(政府・国民)では簡単にはいかない。
中国から帰国した人が1人でも熱を出したら、政府もマスコミも大騒ぎになるのだろう。
(そのような疑いのある患者さんが来院しないことを祈るしかない…八戸の小児科開業医に受診する可能性は限りなく低いが)
このページは書き換えずに、変更する必要があるときにはブログの新しいentryとして追加更新していく予定です。
(要点だけをまとめていくつもりが長くなり重複も多くなってしまいました)
ポイントは、「人-人感染」の有無、軽症例の有無、野鳥の調査結果ですが、前二者は現時点では否定的、野鳥の情報は全くわかりません。
感染ルートは依然として謎のままです。
ウイルスはどこから出て来てどう伝わったのか。
■ 感染者数・死亡例
4月10日現在、感染者は33人で、9人が死亡、3人が軽症(うち1人が軽快)という情報がありましたが、残りの21人の重症度の詳細は未確定のようです。
(9日のWHO発表では24人中7人死亡、14人重症、3人軽症)
33人中9人が死亡という数字は相変わらず高い割合だが、これは中等症・軽症の感染者がほとんど見つかっていないことによるものと思われる。
(→「人から人への感染」および「病原性」)
■ 人から人への感染の有無
WHOによると、600人以上の接触者が経過観察されており、早期に確定された患者の接触者で症状があった人の調査が進められている。現時点では、人から人に感染が続いているという証拠はない。
まだ断定はできないが、インフルエンザは一般に感染力が強く、潜伏期も2~3日で、症状がある期間が1週間くらいなので、10日くらい観察すれば大体の傾向は判断できるはず。
(4/10現在で最初の発表から10日が経過した)
人から人への感染の有無を確かめるためには、感染者同士の接触の有無、周囲の接触者の経過観察と共に、軽症者の存在を調査することが肝要。
人から人への感染があるのなら、どんなに病原性が強かったとしても、中等症や軽症で診断されないまま治っている人がピラミッド型に相当数存在するはず。検査診断はできなくても症状などの調査で判断できる。軽症者がほとんど確認されていない現状では、人から人への持続的な感染は否定的。
※追記→抗体検査でこの型に対する抗体保有の有無を調べられるようだ。
WHOは9日、「2家族で人から人への感染が疑われる事例がある」ことを明らかにした。実際に人から人へ感染したのか、共通の動物(鳥・豚など)から感染したのかもわからないし、他の感染症の可能性もあるだろう。
限定的な家族間感染があった可能性は否定できないが、それ以上続いていないのであれば、それだけで過剰反応すべきではない。
今後、新たに感染者の体内で別の変異が起こるといったことがなければ、現時点では人から人への感染性はないか、あっても限定的なものと推測される。
■ 遺伝子解析
遺伝子の解析で、混合した3種類のウイルスの遺伝子がはいずれも鳥インフルエンザ由来だというのは良いニュースと言えるだろう。ブタの体内で鳥とヒトのウイルスとが混合してくると、2009年のようにパンデミックの恐れが出てくるが、今回のは正真正銘の鳥インフルエンザウイルス。
ただし、国立感染症研究所の分析で、このウイルスの遺伝子が人に感染しやすく変異していることが解明されているので、鳥から人への感染は今後も続く可能性はある。
上記のように患者の体内で別の変異が起きて人から人への感染性が獲得される可能性は否定できない。
また、3種類の遺伝子は浙江省、韓国、長江より北という別々の地域の野鳥ウイルスに由来しており、このH7N9が野鳥の間で変異して広がり、渡り鳥または家禽類を介して人に感染したものと推測できる。
■ 「鳥インフルエンザ」か「新型インフルエンザ」か
現時点で人から人への継続的な感染が認められていない状況では、感染者数や死者数がどれだけ増えようとも、「鳥インフルエンザ」に人が感染しているという判断であり、鳥インフルエンザが変異して人から人への感染性を獲得した「新型インフルエンザ」の流行ではない。
一部のメディアで「新型鳥インフルエンザ」という用語を用いているのを目にしたが、「鳥インフルエンザ」と「新型インフルエンザ」の違いをよく理解していない人に誤解を与える恐れがあるので使わない方が良いだろう。
■ 家禽類(ニワトリ、ハト、ウズラなど)
この点についての情報が錯綜している。
これまで、市場のハト、ニワトリ、ウズラなどでウイルスが検出され、上海市では約10万羽が殺処分されたと伝えられている。
一方で、家禽類から7千以上のサンプルを調査した結果、H7N9は検出されていないという新たな情報も報道されている。
感染者の情報でも、家禽類との接触が明らかな人は一部に限られるようであり、市場や養鶏場だけが主な感染ルートだとは考えにくい状況にある。
■ 野鳥(ガン、カモなど)
これが一番重要なポイント。
鳥に対する病原性がなくて野鳥の間で広がっているなら手の打ちようがない。
(これだけ人の感染者が出ているなら既に相当前に変異が起きて広まっていたと推測するのが普通)
野鳥の調査も実施中だと伝えられているが、その情報がまだほとんど伝わっていない。
4/10の報道で、現時点では検査した野鳥からウイルスは検出されていないとのことだが、今後の情報に注意が必要。
「遺伝子」の項に書いたように、別々の地域の野鳥由来の3種類のウイルスが混合してることから、各地の野鳥がシベリアで交雑して変異し、それが中国に戻ってきたと考えられる。
だとしたら、中国の別の地域だけでなく日本にも既に侵入している可能性はあるのだが、この地域に限局して発生している理由はわからない。
日本でも野鳥の調査を開始すべきだと思うが、なぜか誰もそのことには触れようとしない。
(実際には継続的なモニタリング調査は行われているはず)
なんとなく、原発安全神話や原発事故報道を思い起こさせる。
■ 病原性は
33人中9人が死亡という高い割合をみると病原性が高そうに思えるかもしれないが、分母となる全体の感染者数が把握できていないため、まだ判断はできない。
感染者数は少数にとどまり、感染すると高い割合で重症化する可能性と、診断されていない中等症・軽症者が多数いて、そのうちの一部だけが重症化しているという2つの可能性があるが、これまでの情報から判断すると後者の可能性は低い。
依然として分母は不明だが、いったん感染して発症するとある程度の高い割合で重症化すると考えた方が良いだろう。
■ 感染力は
これまで人の間で明らかな流行を起こした A型インフルエンザはH3N2(A香港型)とH1N1(スペインかぜ、Aソ連型、H1N1pdm2009)の2種類しかない。
15年以上、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の監視が続けられてきたが、H5N1が変異してパンデミックを起こすことはないのではないかというのが最近の見方だ。
今回のH7N9が人に感染しやすく変異したという点には注意が必要だが、このタイプが大きな流行を引き起こす可能性は非常に低いだろうと第一報の時から考えていた。
これまでの調査からも、人から人への感染が持続的に起きている可能性は低く、現在のウイルスのまま新たな変異がなければ、パンデミックを心配する状況にはない。
準備はあくまで「次の変異」に備えてのもの。
■ 今後の予想は
このウイルスが家禽類だけでなくガン・カモなどの野鳥の間で広く浸透しているとすれば、市場の鳥をいくら殺処分しても自然界から消え去ることはなく、手の打ちようがない。
(だから、ウイルスの在りかを調べることが最も重要)
渡り鳥が北に帰ってシベリアに集まり、中国からの渡り鳥も日本からの渡り鳥も交雑してウイルスが浸透し、変異も起こる。その鳥が、また中国や日本に戻ってくる。
その中で、散発的な、あるいは集団的な人への感染が今後も繰り返される可能性は否定できない。
ただし、このタイプのウイルスがずっと鳥の間で優位を保って生存し続けるかは全くわからない。新しい型や元からあった型に駆逐される可能性もある。その可能性の方が高いのではないかと予想してる。
いずれにせよ、野鳥の調査結果がまだほとんどわかっていない状況では、何も判断できない。
■ 謎や特殊要因は
感染源や感染経路がほとんどわかっていないこと。
これは、単純に市場、養鶏場、野鳥のどれかに限定できず、感染源が複数、多数存在することを示唆している。
だとすると、非常に厄介。
ウイルス操作(バイオテロや封じ込めミス)などの人為的要因も頭の片隅には置いておいた方が良いかもしれない。
■ 新型インフルエンザ特措法適用?
メディアは法律の適用範囲をちゃんと確認しなさい。
この特措法が適用されるのは、「人-人感染」を起こす「新型インフルエンザ」または不明の感染症であって、さらに季節性インフルエンザよりも多数の死者を出すことが予想される場合に限定されます。
現時点で、この「鳥インフルエンザ」対策の根拠とはなり得ません。
「鳥インフルエンザ」対策は現行法で行われます。
特措法自体は昨年成立して今年5月に施行予定だったので、それを1ケ月前倒しすることは特に問題はありません。
(法律自体に問題が非常に多いのですがその議論はここではしません)
この「鳥インフルエンザ」に更に変異が起こって「新型インフルエンザ」になる可能性を想定して準備しておくことは大事ですが、今回の「鳥インフルエンザ」対策のために特措法施行を早めるという報道(あるいは政府発表)は明らかに間違っています。
■ ワクチンの開発
国立感染症研究所は中国からウイルス株を入手でき次第、新たなワクチン開発に入ると発表している。米国でもワクチン開発の準備に入っている。ただし、これはあくまで人から人への感染が認められるようになった際に流行の拡大を抑制するための準備であって、現状の「鳥インフルエンザ」の段階でワクチンが接種されることはない。
■ 抗インフルエンザ薬
タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬は試験管内で効果がみられたという。実際に治療した際の効果についてはまだ情報が伝わってきていない。
■ 中国への渡航
出入国とも制限する必要はありません。市中でのマスクはほとんど意味がない。
鶏や野鳥に近づかないのは当然として。
また入国者に対する検疫をし始めないか懸念されます。
2009年のときは無意味な過剰反応で世界に恥をさらした。
そうは言ってもこの国(政府・国民)では簡単にはいかない。
中国から帰国した人が1人でも熱を出したら、政府もマスコミも大騒ぎになるのだろう。
(そのような疑いのある患者さんが来院しないことを祈るしかない…八戸の小児科開業医に受診する可能性は限りなく低いが)