下記のような要望書を、「青森県の四大夏祭り」(青森ねぶた、弘前ねぷた、五所川原立佞武多、八戸三社大祭)の実行委員会に提出して会場の禁煙化を要請することになりました。まだ正式版ではありませんが、先にこちらに公開させていただきます。各祭り実行委員会からの回答が揃ったら、まとめて記者発表などを行いたいと思います。
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青森県の四大夏祭り会場の禁煙化についての要望
拝啓 例年になく遅い梅雨入りとなりましたが、県民だけでなく全国の観光客が待ち望んでいる「青森県の四大夏祭り」もいよいよ間近に迫り、準備に大変お忙しい日々をお過ごしのことと拝察されます。
私ども青森県タバコ問題懇談会は、タバコの害のない青森県をつくるために医療、教育、保健、行政、メディア関係者の有志が参集して活動している団体です。
すでにご存じのことと思われますが、2003年には受動喫煙の防止を施設の管理者に義務づけた「健康増進法」が施行になりました。さらに、世界保健機関(WHO)では、タバコによって毎年500万人もの人が犠牲になりその数が毎年増え続けている現状を踏まえて、世界各国の人々の命をタバコ産業の広告・販売促進活動から守るために「タバコ規制枠組条約(FCTC)」を制定し、日本も2004年に批准して本年2月末には発効となり、ようやくわが国でも世界の流れに沿った本格的なタバコ規制政策が実施されることになりました。
また、東京都千代田区に始まる「路上喫煙防止条例」の制定は全国各地の自治体に波及し、先日青森市において開催された世界禁煙デー企画『脱タバコ元年-無煙社会を目指して』において、本県でも路上喫煙防止条例を早急に制定する必要があることが、国会議員や行政の担当者らを交えた出席者の共通の認識として確認されました。その中で、青森ねぶた祭をはじめとした県内の祭りやイベント会場における受動喫煙の被害や歩きタバコによる火傷の被害が、届けられないものを含めると相当数発生している現実が浮き彫りになりました。最近の新聞の投書欄に、弘前さくら祭りにおいて受動喫煙の被害を受けたため主催者に対して喫煙の規制を求めるという市民からの要望が掲載されたのもご記憶にあるかと存じます。
さらに、それぞれの祭り会場ではゴミの持ち帰りなどの協力を呼びかけていると聞き及んでおりますが、その中で実際に各会場において最も目立つのはタバコの吸い殻だということは全国どこでも共通してみられる現象だと思います。
私たち青森県民の誇りであり、最大の観光資源でもある青森県の四大夏祭り会場において、観光客が受動喫煙や火傷などの被害を受けるような事態は、県内外からの観光客だけでなく、主催者の方々にとってもあってはならないことであり、その予防には最大限の努力が払われるべきと考えます。当会では、タバコ問題についての専門的立場から、夏祭り会場における受動喫煙および火傷予防対策として以下の5項目の要望をさせていただきますので、ご検討下さいますようお願い申し上げます。なお、ご回答につきましてはメディアやインターネット等を通じて全国に発信して、「タバコの害のない健康で安全な青森の夏祭り」をPRしていく所存ですので、ご協力の程よろしくお願いいたします。
なお、誠に恐縮ながら、祭りまでの期日が限られている関係上、7月15日までにご回答下さいますようお願い申し上げます。
今年も四大夏祭りが事故もなく盛会の元に開催されますことを心より祈念しております。大変お忙しい中、このような要望を出させていただく失礼をお詫び申し上げます。
要 望
1.観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙とすること。
2.それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙とすること。
3.もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定すること。
4.喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないこと。
5.以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における禁煙表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めること。
根 拠 および 解 説
1.観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙とすること。
現在、国内で毎年11万人以上の喫煙者がタバコによる病気で亡くなっているだけでなく、受動喫煙の被害により毎年2万人もの方が犠牲になっています。健康増進法の第25条では、不特定多数の人が利用する施設の管理者に対して、受動喫煙を防止する措置を講ずることが義務づけられており、施設の中には屋外競技場や娯楽施設等も含まれるとの厚生労働省健康局長通知(2003年4月30日)も出されております。実際にプロ野球や高校野球、Jリーグなどの屋外競技場は現在全て禁煙となっており、祭りにおける観覧席・桟敷席にも当然この法律が適用されることになります。仕切りのない屋外では分煙によって受動喫煙を防ぐことは不可能であり、全面禁煙にすることは法で定められた義務です。
昨年、当会の会員から青森ねぶた祭実行委員会に出された禁煙の要望に対して「今後は、全面禁煙とまではいきませんが混雑の中での喫煙の危険性を考え、マナーを呼びかける広報活動から実施していけるよう委員会の中でも検討していきたい」という、要望の趣旨をご理解いただけていないお返事が届いておりますが、これは決して観客のマナーの問題ではなく、主催者側が観客の健康を守り法令を遵守するかどうかの問題であり、「禁煙にしない」という選択肢はあり得ないということをご確認下さい。
2.それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙とすること。
混雑するお祭り会場において、路上における受動喫煙や火傷の危険性は観覧席以上に高く、全面禁煙にする必要性が高いと言えます。県内の自治体において路上喫煙禁止条例が制定されていない現状でも、祭りの主催者として適切な禁煙表示と呼びかけを行うことにより、取締りなどを行わなくても禁煙に協力してもらうことは十分に可能であり、また、それが責務であると考えます。非喫煙者のみならず、ほとんどの喫煙者は適切な規制に対して好意的・協力的であり、トラブルが生ずることを案ずるよりも健康で安全な祭りであることを全国にPRしていく方がはるかにイメージアップにつながることをご理解下さい。
3.もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定すること。
観客の中には小児や妊婦のみならず、喘息や狭心症・心筋梗塞などの持病を持つ方、さらにタバコ煙の様々な成分に対する化学物質過敏症の方も少なからずいらっしゃいます。喘息発作や狭心症・心筋梗塞は場合によっては死に直接結びつくこともある病態であり、迷惑やマナーといった問題ではなく命に関わる健康問題であることをご理解下さい。化学物質過敏症の患者さんは通常私たちがタバコの煙を感ずるよりもはるかに低い濃度で様々な苦しい症状が引き起こされるため、もし喫煙所を設ける場合でも人混みから最低でも20m、できればそれ以上の距離をとることが望まれます。
最も優れた対策は、喫煙所などは設けずに路上喫煙禁止条例を制定して祭り会場を含む中心街全体を禁煙エリアに指定することであり、そうなれば祭りの主催者が禁煙対策に頭を悩ます必要もなくなります。今年は間に合わなくても、早期の制定に向けて関係の皆様のご協力をお願いしたいと思います。
4.喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないこと。
「タバコ規制枠組条約(FCTC)」では、喫煙者の2人に1人を死に至らしめるタバコという致死的な商品の広告・宣伝活動に対して、世界中で一律に厳しい規制をかけており、従来みられた電車の車内広告や街頭の広告なども禁止となり撤去されています。
それにも関わらず、タバコ会社ではマナーアップ広告やタイアップキャンペーン、各種イベントへのスポンサーシップなどの様々な方法で規制から逃れて実質的な販売促進活動を行っているのが実情であり、JTの「スモーカー」も分煙やマナーに名を借りた巨大な街頭広告塔であることはどなたにもご理解いただけるものと思います。また、さほど広くない車内は喫煙者にとっても劣悪な環境であると考えられ、喫煙者の健康を守るという意味でも勧められません。さらに、昨年は青森ねぶた祭においてフィリップ・モリス社の提供で喫煙コーナーを設置したということも実行委員会からご回答いただいております。
これらの行為は、タバコ規制枠組条約が発効した現在では、全て国際条約に抵触する行為であるということを広く知っていただく必要があるとともに、祭りの主催者はタバコ会社と協力して「条約の規制からいかに逃れるか」を探るのではなく、条約の趣旨をご理解いただき県民や観光客の健康を守るために「タバコの害のない青森の夏祭り」を実現させるよう、率先してご協力いただけますことを強く期待しております。
参考記事:JTの「スモーカー」お目見え(2004年8月2日 東奥日報)
5.以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めること。
タバコ産業関係者などは、タバコという重大な健康被害を「個々の喫煙者のマナーの問題」にすり替えようとしていますが、実際には喫煙者の大多数は禁煙と定められているエリアでは喫煙せずに我慢することのできる方々です。しかし、同時にその大多数は程度の差はあれ「ニコチン依存症」という米国精神医学会でも定められた薬物依存症の状態にあり、「禁煙」という表示のないところでは、自らのニコチン欲求を満たすために周囲の人が多少の受動喫煙を被っても差し支えないという自己本位とも言える判断を下す傾向にあります。これは本人が悪いのではなく、「ニコチン依存症」という病気そのものによる症状であることをご理解下さい。
夏祭り会場のような人混みで喫煙することの問題について、あらかじめきちんと情報を周知して禁煙に協力していただくように呼びかければ、正面切って反対する人はいないはずです。千代田区のように広い地域を禁煙に指定している場合でも、トラブルはほとんど起きておりません。しかし、禁煙の周知がなされていない状態で、喫煙している人に直接注意したり退場を指示したりしようとすれば、夏祭りという独特の雰囲気の中でトラブルは避けられません。
祭りは特別の場だから法律や条約を守らずに済まされるわけではなく、特別の場であり全国から大きな注目を集めるいまこの時だからこそ、地域社会や全国の祭りの範となるよう率先して正しい対策をとっていくことが求められています。その実現のためには当会としてもできる範囲内でのご協力は惜しまないつもりです。この5項目の要望に対するご回答につきましては、全国の禁煙活動関係者だけでなく、マスメディアなどを通じて、青森の夏祭りに行ってみたいと思っている多くの国民や、全国の祭り関係者、街づくり関係者などからも大きな関心を寄せていただけるものと確信しております。
素晴らしいご回答をお寄せいただけることを信じてお待ちしております。
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青森県の四大夏祭り会場の禁煙化についての要望
拝啓 例年になく遅い梅雨入りとなりましたが、県民だけでなく全国の観光客が待ち望んでいる「青森県の四大夏祭り」もいよいよ間近に迫り、準備に大変お忙しい日々をお過ごしのことと拝察されます。
私ども青森県タバコ問題懇談会は、タバコの害のない青森県をつくるために医療、教育、保健、行政、メディア関係者の有志が参集して活動している団体です。
すでにご存じのことと思われますが、2003年には受動喫煙の防止を施設の管理者に義務づけた「健康増進法」が施行になりました。さらに、世界保健機関(WHO)では、タバコによって毎年500万人もの人が犠牲になりその数が毎年増え続けている現状を踏まえて、世界各国の人々の命をタバコ産業の広告・販売促進活動から守るために「タバコ規制枠組条約(FCTC)」を制定し、日本も2004年に批准して本年2月末には発効となり、ようやくわが国でも世界の流れに沿った本格的なタバコ規制政策が実施されることになりました。
また、東京都千代田区に始まる「路上喫煙防止条例」の制定は全国各地の自治体に波及し、先日青森市において開催された世界禁煙デー企画『脱タバコ元年-無煙社会を目指して』において、本県でも路上喫煙防止条例を早急に制定する必要があることが、国会議員や行政の担当者らを交えた出席者の共通の認識として確認されました。その中で、青森ねぶた祭をはじめとした県内の祭りやイベント会場における受動喫煙の被害や歩きタバコによる火傷の被害が、届けられないものを含めると相当数発生している現実が浮き彫りになりました。最近の新聞の投書欄に、弘前さくら祭りにおいて受動喫煙の被害を受けたため主催者に対して喫煙の規制を求めるという市民からの要望が掲載されたのもご記憶にあるかと存じます。
さらに、それぞれの祭り会場ではゴミの持ち帰りなどの協力を呼びかけていると聞き及んでおりますが、その中で実際に各会場において最も目立つのはタバコの吸い殻だということは全国どこでも共通してみられる現象だと思います。
私たち青森県民の誇りであり、最大の観光資源でもある青森県の四大夏祭り会場において、観光客が受動喫煙や火傷などの被害を受けるような事態は、県内外からの観光客だけでなく、主催者の方々にとってもあってはならないことであり、その予防には最大限の努力が払われるべきと考えます。当会では、タバコ問題についての専門的立場から、夏祭り会場における受動喫煙および火傷予防対策として以下の5項目の要望をさせていただきますので、ご検討下さいますようお願い申し上げます。なお、ご回答につきましてはメディアやインターネット等を通じて全国に発信して、「タバコの害のない健康で安全な青森の夏祭り」をPRしていく所存ですので、ご協力の程よろしくお願いいたします。
なお、誠に恐縮ながら、祭りまでの期日が限られている関係上、7月15日までにご回答下さいますようお願い申し上げます。
今年も四大夏祭りが事故もなく盛会の元に開催されますことを心より祈念しております。大変お忙しい中、このような要望を出させていただく失礼をお詫び申し上げます。
要 望
1.観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙とすること。
2.それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙とすること。
3.もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定すること。
4.喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないこと。
5.以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における禁煙表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めること。
根 拠 および 解 説
1.観覧席・桟敷席については、健康増進法にのっとり全面禁煙とすること。
現在、国内で毎年11万人以上の喫煙者がタバコによる病気で亡くなっているだけでなく、受動喫煙の被害により毎年2万人もの方が犠牲になっています。健康増進法の第25条では、不特定多数の人が利用する施設の管理者に対して、受動喫煙を防止する措置を講ずることが義務づけられており、施設の中には屋外競技場や娯楽施設等も含まれるとの厚生労働省健康局長通知(2003年4月30日)も出されております。実際にプロ野球や高校野球、Jリーグなどの屋外競技場は現在全て禁煙となっており、祭りにおける観覧席・桟敷席にも当然この法律が適用されることになります。仕切りのない屋外では分煙によって受動喫煙を防ぐことは不可能であり、全面禁煙にすることは法で定められた義務です。
昨年、当会の会員から青森ねぶた祭実行委員会に出された禁煙の要望に対して「今後は、全面禁煙とまではいきませんが混雑の中での喫煙の危険性を考え、マナーを呼びかける広報活動から実施していけるよう委員会の中でも検討していきたい」という、要望の趣旨をご理解いただけていないお返事が届いておりますが、これは決して観客のマナーの問題ではなく、主催者側が観客の健康を守り法令を遵守するかどうかの問題であり、「禁煙にしない」という選択肢はあり得ないということをご確認下さい。
2.それ以外の祭り会場の路上・広場なども大きな混雑が予想されることから、受動喫煙および火傷等を防止するためには全面禁煙とすること。
混雑するお祭り会場において、路上における受動喫煙や火傷の危険性は観覧席以上に高く、全面禁煙にする必要性が高いと言えます。県内の自治体において路上喫煙禁止条例が制定されていない現状でも、祭りの主催者として適切な禁煙表示と呼びかけを行うことにより、取締りなどを行わなくても禁煙に協力してもらうことは十分に可能であり、また、それが責務であると考えます。非喫煙者のみならず、ほとんどの喫煙者は適切な規制に対して好意的・協力的であり、トラブルが生ずることを案ずるよりも健康で安全な祭りであることを全国にPRしていく方がはるかにイメージアップにつながることをご理解下さい。
3.もし喫煙所を設ける場合には、人混みから最低でも20m以上離れていて、風向き等も考慮して通行人に受動喫煙の被害が及ばないところに限定すること。
観客の中には小児や妊婦のみならず、喘息や狭心症・心筋梗塞などの持病を持つ方、さらにタバコ煙の様々な成分に対する化学物質過敏症の方も少なからずいらっしゃいます。喘息発作や狭心症・心筋梗塞は場合によっては死に直接結びつくこともある病態であり、迷惑やマナーといった問題ではなく命に関わる健康問題であることをご理解下さい。化学物質過敏症の患者さんは通常私たちがタバコの煙を感ずるよりもはるかに低い濃度で様々な苦しい症状が引き起こされるため、もし喫煙所を設ける場合でも人混みから最低でも20m、できればそれ以上の距離をとることが望まれます。
最も優れた対策は、喫煙所などは設けずに路上喫煙禁止条例を制定して祭り会場を含む中心街全体を禁煙エリアに指定することであり、そうなれば祭りの主催者が禁煙対策に頭を悩ます必要もなくなります。今年は間に合わなくても、早期の制定に向けて関係の皆様のご協力をお願いしたいと思います。
4.喫煙所として、日本たばこ産業(JT)の街宣喫煙車「スモーカー」や、フィリップ・モリスなどのタバコ会社が設置した喫煙コーナーを用いないこと。
「タバコ規制枠組条約(FCTC)」では、喫煙者の2人に1人を死に至らしめるタバコという致死的な商品の広告・宣伝活動に対して、世界中で一律に厳しい規制をかけており、従来みられた電車の車内広告や街頭の広告なども禁止となり撤去されています。
それにも関わらず、タバコ会社ではマナーアップ広告やタイアップキャンペーン、各種イベントへのスポンサーシップなどの様々な方法で規制から逃れて実質的な販売促進活動を行っているのが実情であり、JTの「スモーカー」も分煙やマナーに名を借りた巨大な街頭広告塔であることはどなたにもご理解いただけるものと思います。また、さほど広くない車内は喫煙者にとっても劣悪な環境であると考えられ、喫煙者の健康を守るという意味でも勧められません。さらに、昨年は青森ねぶた祭においてフィリップ・モリス社の提供で喫煙コーナーを設置したということも実行委員会からご回答いただいております。
これらの行為は、タバコ規制枠組条約が発効した現在では、全て国際条約に抵触する行為であるということを広く知っていただく必要があるとともに、祭りの主催者はタバコ会社と協力して「条約の規制からいかに逃れるか」を探るのではなく、条約の趣旨をご理解いただき県民や観光客の健康を守るために「タバコの害のない青森の夏祭り」を実現させるよう、率先してご協力いただけますことを強く期待しております。
参考記事:JTの「スモーカー」お目見え(2004年8月2日 東奥日報)
5.以上のような対策については、メディアや旅行会社等を通じて事前に周知徹底し、当日も会場における表示だけでなくチラシ配布などで観光客の理解と協力を求めること。
タバコ産業関係者などは、タバコという重大な健康被害を「個々の喫煙者のマナーの問題」にすり替えようとしていますが、実際には喫煙者の大多数は禁煙と定められているエリアでは喫煙せずに我慢することのできる方々です。しかし、同時にその大多数は程度の差はあれ「ニコチン依存症」という米国精神医学会でも定められた薬物依存症の状態にあり、「禁煙」という表示のないところでは、自らのニコチン欲求を満たすために周囲の人が多少の受動喫煙を被っても差し支えないという自己本位とも言える判断を下す傾向にあります。これは本人が悪いのではなく、「ニコチン依存症」という病気そのものによる症状であることをご理解下さい。
夏祭り会場のような人混みで喫煙することの問題について、あらかじめきちんと情報を周知して禁煙に協力していただくように呼びかければ、正面切って反対する人はいないはずです。千代田区のように広い地域を禁煙に指定している場合でも、トラブルはほとんど起きておりません。しかし、禁煙の周知がなされていない状態で、喫煙している人に直接注意したり退場を指示したりしようとすれば、夏祭りという独特の雰囲気の中でトラブルは避けられません。
祭りは特別の場だから法律や条約を守らずに済まされるわけではなく、特別の場であり全国から大きな注目を集めるいまこの時だからこそ、地域社会や全国の祭りの範となるよう率先して正しい対策をとっていくことが求められています。その実現のためには当会としてもできる範囲内でのご協力は惜しまないつもりです。この5項目の要望に対するご回答につきましては、全国の禁煙活動関係者だけでなく、マスメディアなどを通じて、青森の夏祭りに行ってみたいと思っている多くの国民や、全国の祭り関係者、街づくり関係者などからも大きな関心を寄せていただけるものと確信しております。
素晴らしいご回答をお寄せいただけることを信じてお待ちしております。