女子マラソンの代表選考で騒動が起きるのは「お家芸」みたいなものですが、マラソンファンとしては、野次馬的な興味ばかりで語ってはいられません。
ただし、今回は選手の側が「俎板の上の鯉」状態ではなく、リスク覚悟の決定的なアクションを起こしたという点で、大きな転換点となったはず。
(以下、敬称略)
2000年シドニー五輪選考での弘山落選(※)、昨年(2015年)の世界陸上での「田中落選・重友代表(★)」のこともあるから、現行のルールのもとでは、福士選手と監督の「名古屋強行出場」の選択は十分理解できます。
それにしても、シドニー五輪選考のレベルの高さには、今更ながら驚かされます。(※ 経緯と記録は下記)
福士の「リオ決定だべ」の叫びに、まだその言葉は早いよと内心つぶやいたのですが、福士陣営もその可能性は十分認識していたはず。
(それを承知で叫んだとしても、当然お墨付き発言は出てこない)
名古屋で2位まで大阪の福士の記録を上回るタイムでゴールする可能性は非常に低いので、福士は(事前のトレーニングも含めて)無理せず2位狙い。
一方、前田・木崎・田中は「2位以上+タイム」が求められる。
(野口もラストランを懸けて波乱を起こせるか注目)
序盤から大阪とほぼ同じペースの高速レースになるはず。
観る側からすると面白くなりそうですが、これなら実質的には一発選考と同じ。
元々、4つの選考レースで3人を選ぶということ自体無理があるのですが、これはもう民放TV局のドル箱番組確保とスポンサー料に頼る陸連という構図でどうにもこうにも変えようがない。
これまでは、有力選手が同じレースで競って2位3位になるより、分散して優勝(または日本人1位)の方が良いだろうという意識が選手にも見る側にもあったのだが、今回の福士の捨て身の「叛逆」によって、自ら決めるためには二度走らなければいけなくなるという「福士リスク」があることが誰の目にも明らかになった。
今後は選手サイドで、さいたま・大阪は避けて「名古屋一発勝負」という流れが出来てくる可能性が大きい。
今回の福士サイドの決断で、一番焦っているのは「さいたま」と「大阪」を中継しているTV局だろう。
もし来月の名古屋がハイレベルの争いになったら、世界陸上内定というシステムへの疑問も当然生まれてくるでしょう。
その内定者(今回は伊藤 ◎)への理不尽な批判も出てくる懸念もあります。
シドニーでの市橋と同じ構図。市橋は苦しんだはず。
(市橋の時にはメダル内定だったのが伊藤は入賞で内定)
しかも、今回は「夏のマラソンへの適性」という言い訳が通用しない。(夏季五輪だけどリオは冬)
前田が世界陸上で決められずに名古屋再挑戦というのも、2000年の高橋とほぼ同じ。
陸連としては、実績と将来性を考えて、福士・木崎・前田(ベテラン・中堅・若手)という青写真を描いていたと想像できる。
4年後の東京もにらんで、前田を何としても出したい。
(前田が微妙なタイムで2位だった時のリスクを福士サイドは懸念した)
しかし、マラソンだからシナリオ通りには運ばない。
前田・木崎が怪我からどれだけ復調しているかが鍵となるが、当然のことながら、トップシークレットで情報は出てこないでしょう。→☆
繰り返しますが、野次馬的にはこの3人が(あるいは田中や野口も含めて)、最後までデッドヒートを繰り広げるレースも見てみたいが、大阪で必要十分な結果を出した福士が、タイムを意識しながら2位争いを制する「大人のレース」で調整能力も実証することを期待したい。
☆ ここまで書いたところで前田欠場という大変残念なニュースが(…この先が懸念されます)。
これで元々低かった名古屋1・2位代表という可能性は、半減、あるいは更に半減した。おそらく福士出場の報道をみて先にメッセージを出したのだろう。
福士の決断が及ぼした効果は甚大で、これによってその意味が減ずるわけではないので、撤回して出場回避しても良いのではないかと思うが。。
◎ 世界陸上2015(北京)
7位 伊藤 舞 2時間29分48秒
13位 前田彩里 2時間31分46秒
14位 重友梨佐 2時間32分37秒
■ 2000年シドニー五輪・女子マラソン選考レース
<1999年>
◎ 世界陸上(セビリア) 2位・市橋有里(2時間27分02秒)
(高橋尚子は直前欠場)
◎ 東京国際女子 優勝・山口衛里(2時間22分12秒)
<2000年>
◎ 大阪国際女子 2位・弘山晴美(2時間22分56秒)
◎ 名古屋国際女子 優勝・高橋尚子(2時間22分19秒・大会記録)
■ シドニー五輪
1 高橋尚子 2°23'14"
7 山口衛里 2°27'03"
15 市橋有里 2°30'34"
★ 増田明美「納得できません!」世界陸上・女子マラソン代表選考で陸連と火花 2015/3/12
http://www.j-cast.com/tv/2015/03/12230133.html
ただし、今回は選手の側が「俎板の上の鯉」状態ではなく、リスク覚悟の決定的なアクションを起こしたという点で、大きな転換点となったはず。
(以下、敬称略)
2000年シドニー五輪選考での弘山落選(※)、昨年(2015年)の世界陸上での「田中落選・重友代表(★)」のこともあるから、現行のルールのもとでは、福士選手と監督の「名古屋強行出場」の選択は十分理解できます。
それにしても、シドニー五輪選考のレベルの高さには、今更ながら驚かされます。(※ 経緯と記録は下記)
福士の「リオ決定だべ」の叫びに、まだその言葉は早いよと内心つぶやいたのですが、福士陣営もその可能性は十分認識していたはず。
(それを承知で叫んだとしても、当然お墨付き発言は出てこない)
名古屋で2位まで大阪の福士の記録を上回るタイムでゴールする可能性は非常に低いので、福士は(事前のトレーニングも含めて)無理せず2位狙い。
一方、前田・木崎・田中は「2位以上+タイム」が求められる。
(野口もラストランを懸けて波乱を起こせるか注目)
序盤から大阪とほぼ同じペースの高速レースになるはず。
観る側からすると面白くなりそうですが、これなら実質的には一発選考と同じ。
元々、4つの選考レースで3人を選ぶということ自体無理があるのですが、これはもう民放TV局のドル箱番組確保とスポンサー料に頼る陸連という構図でどうにもこうにも変えようがない。
これまでは、有力選手が同じレースで競って2位3位になるより、分散して優勝(または日本人1位)の方が良いだろうという意識が選手にも見る側にもあったのだが、今回の福士の捨て身の「叛逆」によって、自ら決めるためには二度走らなければいけなくなるという「福士リスク」があることが誰の目にも明らかになった。
今後は選手サイドで、さいたま・大阪は避けて「名古屋一発勝負」という流れが出来てくる可能性が大きい。
今回の福士サイドの決断で、一番焦っているのは「さいたま」と「大阪」を中継しているTV局だろう。
もし来月の名古屋がハイレベルの争いになったら、世界陸上内定というシステムへの疑問も当然生まれてくるでしょう。
その内定者(今回は伊藤 ◎)への理不尽な批判も出てくる懸念もあります。
シドニーでの市橋と同じ構図。市橋は苦しんだはず。
(市橋の時にはメダル内定だったのが伊藤は入賞で内定)
しかも、今回は「夏のマラソンへの適性」という言い訳が通用しない。(夏季五輪だけどリオは冬)
前田が世界陸上で決められずに名古屋再挑戦というのも、2000年の高橋とほぼ同じ。
陸連としては、実績と将来性を考えて、福士・木崎・前田(ベテラン・中堅・若手)という青写真を描いていたと想像できる。
4年後の東京もにらんで、前田を何としても出したい。
(前田が微妙なタイムで2位だった時のリスクを福士サイドは懸念した)
しかし、マラソンだからシナリオ通りには運ばない。
前田・木崎が怪我からどれだけ復調しているかが鍵となるが、当然のことながら、トップシークレットで情報は出てこないでしょう。→☆
繰り返しますが、野次馬的にはこの3人が(あるいは田中や野口も含めて)、最後までデッドヒートを繰り広げるレースも見てみたいが、大阪で必要十分な結果を出した福士が、タイムを意識しながら2位争いを制する「大人のレース」で調整能力も実証することを期待したい。
☆ ここまで書いたところで前田欠場という大変残念なニュースが(…この先が懸念されます)。
これで元々低かった名古屋1・2位代表という可能性は、半減、あるいは更に半減した。おそらく福士出場の報道をみて先にメッセージを出したのだろう。
福士の決断が及ぼした効果は甚大で、これによってその意味が減ずるわけではないので、撤回して出場回避しても良いのではないかと思うが。。
◎ 世界陸上2015(北京)
7位 伊藤 舞 2時間29分48秒
13位 前田彩里 2時間31分46秒
14位 重友梨佐 2時間32分37秒
■ 2000年シドニー五輪・女子マラソン選考レース
<1999年>
◎ 世界陸上(セビリア) 2位・市橋有里(2時間27分02秒)
(高橋尚子は直前欠場)
◎ 東京国際女子 優勝・山口衛里(2時間22分12秒)
<2000年>
◎ 大阪国際女子 2位・弘山晴美(2時間22分56秒)
◎ 名古屋国際女子 優勝・高橋尚子(2時間22分19秒・大会記録)
■ シドニー五輪
1 高橋尚子 2°23'14"
7 山口衛里 2°27'03"
15 市橋有里 2°30'34"
★ 増田明美「納得できません!」世界陸上・女子マラソン代表選考で陸連と火花 2015/3/12
http://www.j-cast.com/tv/2015/03/12230133.html