前田大阪地検特捜検事を逮捕 証拠隠滅容疑、地検も捜索。(共同通信) - goo ニュース
テレビや新聞と無縁なのでよくわからないが、妙な「事件」だとの印象が強い。おそらく、村木さんとは全く関係のないところにある勢力あるいは個人に圧力をかける目的で、「障害者団体向け割引制度悪用事件」を発掘したのではないだろうか。つまり、割引制度を悪用したことを問題にしたのではなく、社会的地位を失墜させることなど容易なのだぞ、という脅しのためにこの「事件」を持ち出したということだ。
事件が明るみになり、最初の逮捕者が出たのが昨年2月で、そこから広告代理店社員、家電量販店社員、厚生労働省職員、郵便事業会社職員などが次々と逮捕されている。刑事事件の裁判が平均的にどれほど時間を要するものなのか知らないが、逮捕された人々の一審判決が出始めるのが昨年8月からなので、裁判というよりは事務手続きに近いものだろう。ということは、被告が罪状を認めているということでもある。しかし、村木さんは逮捕が昨年6月14日で一審判決が今月10日なので、これは裁判らしい裁判だったといえる。ところが、24日までに控訴をするか否かを決定することができる検察側が早々と今日、上訴権を放棄してしまった。村木さんが犯罪者であるとの確信があればこそ、起訴に踏み切ったはずだろうが、検察側が提出した証拠が悉く不採用となって無罪判決が下った上に、本件の主任検事が証拠隠滅で逮捕されるという事態に至っては、裁判を継続することなどできるはずもない。
そもそもこれは実在した「事件」だったのか、という疑問すら湧き起こる。これまでに有罪判決を受けた人たちは罪状を認めているのだが、なかには判決が下りてから罪状を否認して控訴している人もいる。なんらかの約束事があったのが、それが反故にされたので一転して罪状を否定している、というのは穿ち過ぎだろうか。おそらく事件の「発見」から現在に至る1年半ほどの間に、その背後にあった事情が大きく変化したのである、と、思う。
昔、「ワイルド・ギース(原題:The Wild Geese)」という映画を観た。アフリカの某国でクーデターが起こり大統領が誘拐されてしまう。その国に利権を持つ鉱物資源開発会社が自社の利権を守るべく傭兵を雇い、大統領の身柄確保を図る。この傭兵の中心人物たちが主役なのだが、晴れて大統領を無事に発見し、身柄を雇い主のもとへ届けようと、迎えの飛行機がやってくることになっている空港に待機していると、その飛行機が予定通り現れる。ところが着陸直前になって雇い主の企業からパイロットに連絡が入る。大統領はもういらないと。飛行機は着陸せずにそのまま飛び去ってしまう。新政府とその企業との間に利権を継続する旨の取り決めが成立したのである。取り残された傭兵たちは、多くを犠牲にしながらも、なんとか一部は帰還を果たす。1978年の作品で、私は映画館で観てとても感動したのだが、それほど評判にはならなかったように記憶している。検索してみたらYou Tubeに予告編が上がっていた。
今回の事件が主任検事の逮捕に至ったのを見て、ふとこの映画を思い出した。