菅野さんに作っていただいたカバンのインナーケースに刻まれた彼から私へのメッセージが解読できた。サン=テグジュペリの『星の王子様』の一節だ。菅野さんの好きな言葉のひとつだという。そういえば、以前にメールのやり取りのなかで、この台詞が出て来たことがあった。私もその通りだと思う。上辺だけを眺めて物事を「見た」つもりになってしまうと、そこから先に思考が進まない。見たつもり、わかったつもり、というのは思考の大敵だ。ほんとうはどうなのだろう、その向こう側に何があるのだろう、という想像を働かせることがなかったら、世の中は平板でつまらないものに見えてしまうだろう。そうなったら生きていてもしょうがない。生きていてもしょうがない奴とつきあってもしょうがない。「On ne voit bien qu'le coeur. l'essentiel est invisible pour les yeux.って、いいよね」そう言い合える人を大事にしたい。
星の王子さま―オリジナル版 | |
サン=テグジュペリ | |
岩波書店 |