熊本熊的日常

日常生活についての雑記

伊東に行くなら

2012年07月21日 | Weblog

職場の旅行で伊東に出かけた。職場、と言っても4人のオッサンというささやかなものだ。上司が「みんなで温泉に行こう」という鶴の一声で、メンバーのなかの最若年が安いツアーを探してきた。東京から往復のバスによる送迎が付いて一泊二食で9,000円程度だという。ネットの口コミサイトは酷評の嵐。恐いもの見たさ、という言葉があるが、そこまで評判が悪いとなると却って行ってみたくなるというのが人情というものだ。

この旅行を手配した人の話によれば、予約は電話でするのだが、その電話が容易につながらないのだという。一月半ほど前に予約を入れたときには部屋も条件もよりどりみどりだったのだが、それから半月ほどして、やっぱりああしようこうしようとなって、条件の変更をするために電話をしたところ満室になっていたという。今朝、バスに乗る所定の場所に行くと、満室だから当然なのだが、バスも満席だ。こりゃやっぱり悲惨かな、と思いきや、宿に着いて通された部屋はこざっぱりとしていて快適だ。これなら食事が酷くても全く問題無いと思わせるほどだったが、食事もサイトに書き込まれているほど酷いものではなかった。ほんとうに美味しいものを頂きたいのなら、そういうところを選べばよいだけのことで、金は渋って実入りだけを求める盗人のような心情だと不満になるのは当然だ。むやみやたらに他人を匿名で非難するのもいるが、褒めるなら匿名でよいが、文句を言うなら正々堂々というのが文明と秩序ある社会の常識ではないだろうか。

目的地に着いたのが午後の早い時間で、昼飯がまだだったので、さっそく街の散策がてら食事に出かける。メンバーのなかに伊東は初めてという人があり、彼にこの地の名物を尋ねられたので、真っ先に思いつくのは金目鯛ですね、と答える。他の人の答えもほぼ同様であったようで、昼飯と土産の干物は金目鯛と決めて歩き始める。とりあえず海へ向かって歩き始め、ほどなく小さな干物屋の前に出る。金目の干物が欲しいというと、店の人は高くてあまり出ないので置かないという。干物はとりあえず置いておいて、昼飯で金目の料理が食べたいというと、その近くにある魚屋の2階にある食堂を紹介してくれた。

おそらく、こうして教えてもらわないとたどり着かない食堂だ。狭い鉄製の外階段を上っていくという所為もあり、道路を歩いていて店の入口に気づかない。それなのに、閑古鳥が鳴いている風ではなく、小綺麗な店内であるところを見ると、これは期待できるかなと思う。4人で、「金目定食」というのと、店の名前を冠した定食に分かれた。あれこれ話をしながら20分ほど待っただろうか。私は店名を冠したほうだったが、金目のあら煮とカマ焼きがあり、これを「金目定食」と呼んでもよいほどの内容だ。なるほど地元の人のお勧めだけあって旨い。

食堂のおばさんに金目の干物を買うのにオススメの店を尋ねてみた。その答え方が良かった。勧めるというわけではないけれど、ウチで食べるのに買っているのは、と言ってその近所の卸売業者を教えてくれた。これまた観光客相手ではないので、店の場所が路地裏にあってわかりにくい。構えも干物屋というより水産物加工作業所という風情だ。それでも手書きで「小売りします」と書いた紙が貼ってある。箱に入ったままの干物をあれこれ見せてもらっているうちに、最初は買うつもりがなかった私も食べてみたくなった。それで実家宛に金目鯛、カマス、サバの味醂干し、鯵を買って送ってもらった。

海のほうを少し散策した後、宿に戻り、たくさんある大浴場をふたつみっつハシゴして、食事の後は近所の川へ蛍狩りに出かける。川が大きいので風情はいまひとつだが、蛍は確かにいた。