車やバイクで「ファインチューニング」という言葉があります。
動くべき所はあくまでもスムーズに動く状態、つまり、その車やバイクが本来持っている筈の性能を最大限に引き出す、ベストな状態にするための整備や調整のことです。(経済用語のファインチューニングではありません。)
プラモデル作りでも、これと同じことが言えると思います。
キットが持っている「本来の姿」を最大限に引き出した完成品に仕上げることです。
例えば、
・合わないパーツを調整してピタリと合わせる。
・不揃いな筋彫りを均一に調整する。
・クリアパーツを磨いて透明度を上げる。
・穴を開けるべきところは穴を開ける。(エアインテーク、排気口など)
・薄くすべきところは薄くする。
・丸いところは丸くする。(パーティングラインやバリを綺麗に取る)
・平らな所は平らにする。(ヒケを埋める)
等々を丁寧に行って、仕上げていくというようなことです。
このように作られた完成品を観ると、独特の「潔さ」を感じます。
これぞ、まさしく「素組みの奨め」です。
もう一歩踏み込んで、飛行機キットならシートベルトやブレーキパイプを追加したり、アンテナ線を張ったり、ピトー管を真鍮棒に交換したりというような初歩的なディテールアップくらいまでが良い所でしょう。
車で言えば鉄ホイールをアルミホイールに取り換えたり、エンジンオイルや点火プラグをグレードアップするようなもんですね。
ちょっと経験を積んだモデラーなら、つい「あれもしたい、こうもしたい」という欲望に囚われて、気が付くと「完成しない病」や「こんなことなら病」に罹ってしまっているというパターンが少なくないと思います。
更に、レジンやエッチングなどの高価なディテールアップパーツや改造パーツを使うとなると、精神的にもかなりのプレッシャーがかかり、気楽に楽しむどころではなくなってしまいます。
私もかつて、そういう状況に嵌ってしまい、1年掛かって1個も完成させられないなんてこともありました。
でも、ちょっと我慢して「完成させる」ことを目指して基本に徹すると、それなりの期間でちゃんと完成して、しかも結構良い出来映えになります。
勿論、どれだけ凝っても、拘っても、ちゃんと完成させられる腕前をお持ちの方には、「素組みの奨め」なんて失礼なことは申しません。
また、「どれだけ時間が掛かってもいいから徹底的に作り込みたい」というキットもあるでしょうから、それはそれで大いに挑戦すれば良いと思います。
あくまでも私のような「並の腕前」のモデラーさんの普段の製作についてのお奨めです。
やっぱりプラモデルは「作ってナンボ」で、完成させるのが最大の楽しみだと思いますから・・・。