万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中韓朝の対日賠償請求の背景-「国際違法行為に対する国家の責任」条文草案

2013年10月06日 15時54分48秒 | 国際政治
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 日本軍の過去の行為を理由として、中国、韓国、北朝鮮が日本国に対して謝罪や賠償を請求するようになったのは、戦争が集結して暫く経過した頃のことです。これらの諸国に呼応するかのように、日本国側でも村山談話が公表されたのも、戦後50周年の節目の年でした。冷静に考えても見ますと、どこか不自然なお話なのですが、その背景には、一体、何があったのでしょうか。

 この謎を解くカギは、「国際違法行為に対する国の責任に関する条文草案」にあるように思えるのです。この条文草案、あまり知られていませんが、2001年に国連国際法委員会第53会期で採択されたものです。これ先だって、1980年から1996年にかけて「国家責任に関する条文草案」が、同委員会において暫定的に採択されており、2001年の「国際違法行為…」は、国家の責任問題を検討する作業の終着点として位置しているようです。草案に過ぎず、国際法として確立したわけではありませんが、この条文草案には、腑に落ちない点が幾つかあります。「国家責任…」では、紛争解決の手段として、交渉、周旋・仲介、調停、仲裁、そして、国際司法裁判所に関する規定が設けられていたのですが、2001年の「国際違法行為…」では、この部分が、そのままそっくり削除されています。紛争解決手段が備わっていないことは、即ち、国家間で争いが生じた場合、第三者による公平・中立な判断を仰ぐことができないことを意味しています。そして、さらに不可思議なことに、草案には、遡及効に関する条文が置かれていません。一般的には、刑法分野では、遡及効は禁じられておりますが、遡及効の禁止規定が存在しないとなりますと、如何なる国も、過去に遡って自国の被害を訴え、相手国に謝罪や賠償を請求できることになります。

 仮に、この条文草案が条約として成立することになれば、講和条約さえ否定することになりかねず、国際社会は、訴訟合戦の場と化すことでしょう(中韓朝も例外ではなく、賠償請求を受けることに…)。この条約の成立を見越し(現実には、この草案は、国際社会において放置されている…)、日本国から巨額の賠償金を手に入れるチャンスとばかりに、中韓朝が国家ぐるみで対日要求や工作を強めたとしますと、それこそ、恐喝、詐欺、並びに、誣告という刑法上の罪に当たるのではないかと思うのです。 

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コメント (6)
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