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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国の魔の手から誰がウイグル族を保護するのか

2013年10月30日 16時13分43秒 | その他
「ウイグル」犯行断定へ=習指導部、力で封じ込め―天安門突入炎上・中国(時事通信) - goo ニュース
 昨日、中国の天安門広場で発生した自動車の突入炎上事件。情報隠蔽が日常茶飯事な中国当局が、速攻でウイグル人の犯行と断定し、容疑者の情報まで積極的に公開するとなりますと、当局の報道の真偽に拘わらず、この事件は、再び、天安門広場が、歴史を動かす予兆となるのかもしれません。

 ところで、中国当局は、この事件を、イスラム原理主義者による自爆テロと同列として扱いたいようです。しかしながら、イスラム原理主義組織の政治的主張と、ウイグル人の政治的主張との間には、著しい違いがあります。前者は、宗教上の教義に基づく世界観をめぐる戦いですが、後者は、中国の頸木に繋がれているウイグル人による自由と独立を求める訴えです。国際法において、民族自決は正当な権利として承認されており、独立戦争もまた、合法的な戦争の一つです。少なくとも、ウイグル人の政治的な主張には、正当性があるのです。むしろ、第二次世界大戦後の混乱期に軍事力でウイグル自治区を併合し、ウイグル人を一方的に虐げている中国こそ、国連憲章に掲げる民族自決の権利を損なう行為として批判を受けるべきです。民族自決の原則とは、自らの民族を護る政府を自らが保持することを意味しますが、中国に支配されているウイグル人は、何らの自己防御の手段もないまま、中国の暴力に晒され続けているのですから。

 習政権が、この事件を口実に、ウイグル自治区に対する締め付けを強化し、非人道的な弾圧に乗り出すとしますと、国際社会は、誰が、無防備なウイグル族を護るのか、という人道上の問題に直面します。そしてこの問題は、チベットもまた同様なのです。国際社会は、中国の魔の手から虐待を受けている人々を護る為に、人道的介入も辞さずの構えで、中国に対して圧力をかけるべきと思うのです。

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コメント (12)
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