万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国公立大2次の学力試験廃止-心配すべきは失敗に学ばない教育再生実行会議

2013年10月11日 09時55分49秒 | その他
 先日、OECDが実施した成人力調査において、日本国は、三科目総合で1位の成績を残しました。1位という名誉ある順位は、日本国の教育制度が、企業の社員教育を含めて良好な状態にあることを示しています。

 かつて、日本国は、”競争は悪”とする視点から”ゆとり教育”を導入したところ、学力を著しく低下させる失敗を経験しました。学力低下に対する強い危機感から、国民世論の後押しの下で”ゆとり教育”からの脱却が図られ、今日では、学力の回復が見られるそうです。教育再生実行会議もまた、”ゆとり教育”からの脱却を促進するために設置されたものと思いきや、どうやら、そうではないようなのです。驚くべきことに、国公立の2次試験では、学力試験を廃止する方針で検討に入っていると報じられています。この提案、いわば、国公立大をアドミッション(推薦)入学化するようなものです。アドミッション入学についても、一般入試を経て入学した学生と比較し、この方式で入学してきた学生の学力が劣るとする問題が発生し、各大学とも、アドミッション枠の廃止・削減、並びに、入学後の学習フォローの強化など、対策に追われることになりました。つまり、今回の提言は、”ゆとり教育”と”推薦入学”の二つの過去の失敗の経験から学ぶことなく、”教育再生”という新たな衣を着せて、”学力低下のメカニズム”を再び蘇らせようとしているのです。2次試験における学力試験の廃止理由として、同様の試験を二度行う必要はないことを挙げております。しかしながら、1次試験が、マークシート方式によって基礎的な学力の到達レベルを問うとしますと、2次試験には、受験生が自己の将来設計の下に選択した学部学科に対する適性や能力を測る重要な役割があります。学力試験に代わって人物評価を重視するとしていますが、高校時代のボランティアの実績などで、専門的な適性や能力が図れるはずもなく、面接重視では、合否を決める評価が面接官の主観に左右されることは言うまでもないことです。

 真に心配すべきは、日本国の教育制度よりも、”改革は善”とばかりに改悪に走り、過去の失敗の経験に謙虚に学ぼうとしない教育再生実行会議の方です(それとも、日本国の学力低下を隠れたミッションとした確信犯なのでしょうか…)。大学の2次試験では、短絡的に学力試験を廃止するよりも、各大学が、専門分野に対する適性や能力を測ると共に、地頭の良さや豊かな発想、そして、論理的展開能力を試すようなユニークな試験問題造りに取り組む方が、余程、日本国全体の学力、並びに、学問レベルのアップに貢献すると思うのです。

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コメント (4)
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