万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日米韓海上合同演習―疑心暗鬼のトライアングル

2013年10月03日 15時37分27秒 | アジア
日米韓が海上合同演習へ=朝鮮半島沖、空母も参加(時事通信) - goo ニュース
 李前大統領の竹島上陸以来、日韓関係は、戦後最悪の状況を迎えていますが、こうした中、米国国防省は、本日、日米韓による海上合同演習を実施することを明らかにしたと報じられています。北朝鮮への牽制が狙いなそうですが、日米韓の3国関係、疑心暗鬼のトライアングルを成しているのではないかと思うのです。

 そもそも、仮に第二次朝鮮戦争が勃発したとしても、日本国が参戦する可能性は極めて低いと考えられます。アメリカとは日米同盟を締結していますが、韓国との関係は、米韓同盟を結んでいるアメリカを介した間接的な関係に過ぎません。況してや、韓国に竹島を不法占拠され、過激な反日政策の被害を受けてきたのですから、日本国民が、韓国を救うために自衛隊員が命を落とす状況を許するはずもないのです(経験則からすれば、結局、恩を仇で返される…)。正直な心情としては、最大限後方支援であり、たとえ集団的自衛権の解釈が変更されたとしても、朝鮮半島有事への介入などもっての他なのではないでしょうか。
 一方、韓国側も、合同演習を歓迎しているとは思えません。日本国の海上自衛隊には、韓国が忌み嫌う”旭日旗”が掲げられておりますし、韓国海軍の潜水艦等に、”安重根”などの名を付けるぐらいですから、韓国軍にとりましては、日本こそ”仮想敵国”です。しかも、最近に至り、中国の人民解放軍との関係強化を積極的に図っており、中国側、あるいは、北朝鮮側に日米の軍事情報を流す”間諜”である疑いもあります。
 それでは、アメリカはどうでしょうか。この合同演習が、対北朝鮮を名目としていることが示すように、何故か、最大の脅威であるはずの中国の存在が隠されています。おそらく、中国を刺激したくないオバマ政権の意向なのでしょうが、中国を表に出した場合、韓国が尻込みすることを警戒した結果とも憶測されます。その一方で、韓国への有事作戦統制権の返還については、前向きに検討すると応じながらも、返還時期の延期にそれほど乗り気なようにも見えません。

 以上は簡単なスケッチに過ぎませんが、実のところ、日米間の三国は、極めて危ういバランスの上にあります。そして、この相互の疑心暗鬼に満ちたトライアングルは、全てが悪い方向に転がり始めると、日米韓の結束をスローガンに対北戦争が開始されたものの、アメリカが一抜けし、最終的には、韓国の寝返りにより、日本国一国が南北両国、さらには、そのバックの中国を相手に戦うという最悪のシナリオを予測させるのです。相互信頼なき軍事協力ほど、危険なものはないと思うのです。

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コメント (2)
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