万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

集団的自衛権の手足を縛る安保法制懇

2013年10月17日 15時27分46秒 | 日本政治
 昨日、政府が主催する「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の会合において、自衛隊の活動範囲の拡大について、検討すべき事案が提案されたそうです。しかしながら、この方法、集団的自衛権の手足を縛ることになるのではないかと思うのです。

 安保法制懇は、年内に纏める報告書において、集団的自衛権の行使容認に向けた憲法解釈の変更を提言する予定なそうです。内閣法制局長が示した現行の政府解釈が変更されれば、”保有しているけれども、行使できない”というナンセンスな状況から脱することができます。この点、評価すべきことなのですが、安保法制懇での議論は、集団的自衛権の行使を可能とする一方で、特定の事例に限定することで、むしろ、新たな縛りを設けようとしているように見えるのです。有事にあっては、敵国の行動を事前に予測することは不可能です。法の縛りがありますと、国家と国民の安全を護る為に絶対に必要な共同行動であっても、違法行為となるため、断念せざるを得なくなる場合も想定されます。集団的自衛権に基づく自衛隊の活動範囲を、特定の事例に絞って認める方法は、いざ、という時に足枷となり、日本国を滅亡の淵に立たせることになりかねないのです(結局、超法規的な措置を取らざるを得なくなる…)。

 国連憲章第51条では、個別的自衛権も集団的自衛権も、共に国家の当然の権利として認めているのですから、わざわざ、事前に行使できるケースを法律で決める必要はないのではないでしょうか(自縛行為…)。むしろ、日本国政府には、集団的自衛権に関して、あらゆる事態に迅速、かつ、柔軟に対応できるフリーハンドがあることをアピールした方が、侵略的な野心を持つ国に対する抑止力にもなると思うのです。

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コメント (4)
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