万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

東南アでの慰安婦調査なし―自己申請だけで救済した日本

2013年10月13日 15時30分25秒 | アジア
慰安婦問題の拡大阻止 92~93年、東南アで調査せず(朝日新聞) - goo ニュース
 第二次世界大戦における慰安婦問題に関連し、朝日新聞は、”1992年から93年にかけて、日本国政府は、この問題の拡大を阻止するために慰安婦に対する調査の実施を回避したことが、外交文書や関係者への取材で判明した”と報じています。

 朝日新聞の論調は、日本国政府に対して批判的なのですが、果たして、この調査回避、批判を受けるべきことなのでしょうか。何故ならば、調査の見送りは、全員ではないにせよ、”元慰安婦”や被害者にとりましては、決して不利なことではなかったからです。そもそも、朝日新聞が挙げた三カ国については、日本国は、1950年代にインドネシアとフィリピンとの間に賠償協定を、マレーシアとの間でも、1967年に「マレーシアとの「血債」協定」を締結しています。これらの協定に基づいて、インドネシアに対して803億880万円、フィリピンに対して1902億300万、そして、マレーシアに対しては、約29億4000万円が支払われました。1990年代に至り、慰安婦問題が持ち上がってくると、日本国政府は、戦後賠償の枠外での救済を模索し、アジア女性基金を設立します。マレーシアは、この基金の対象とはなりませんでしたが、この際、インドネシアは、賠償協定で戦後賠償は済んだと見なし、個人への償い金の給付ではなく、高齢者医療福祉施支援による事業を選択しています。朝日新聞が指摘するように、日本国政府による詳細な調査は実施されたなったのでしょうが、アジア女性基金のHPによれば、1992年6月、フィリピンでは、ラジオ放送で元慰安婦やその他の被害者に対して、名乗り出るよう呼びかける放送があったそうです。このことは、当時の状況や証言の真偽を厳密に審査することなく、日本国政府は、本人の自己申請だけで被害を認めたことを意味しています。しかも、軍に慰安所が設置された理由は、占領地における女性に対する暴力を防ぐためであったのですから、現地において、膨大な数の被害者が存在したとも考えられないのです(ベトナム戦争時のライタダイハンのような混血児は殆どいない…)。

 日本国の一部であった韓国と占領地となった東南アジアでは状況が著しく違いますので、両者を同列に論じることはできませんが、後者の場合には、”慰安婦”というよりも、日本兵によって暴力を受けたとする被害申請が多いようです。あらゆる戦争がそうあるように、日本軍でも軍規違反による暴力事件は存在したのでしょう。その一方で、自己申請のみで救済を認めた日本国は、むしろ、被害者に対して寛大であったのではないかと思うのです(結果的には、韓国によって”日本軍20万人強制連行説”を認めたかの如くに宣伝され、自国の名誉を著しく損なうことに…)。

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コメント (2)
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