万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

イスラエルの化学兵器禁止条約加盟-世界は変わるのか?

2013年10月01日 17時38分26秒 | 国際政治
イスラエルも加盟検討=化学兵器禁止条約(時事通信) - goo ニュース
 化学兵器禁止条約は、大多数の国が加盟していながら、幾つかの諸国は、未加盟の状態にあります。イスラエルもまた、数少ない未加盟国の一国です。

 化学兵器を使用した疑いの濃いアサド政権は、国連安保理で成立した化学兵器全廃決議の受け入れを表明し、今のところは、保有している化学兵器を手放す姿勢を見せています。シリアが、化学兵器禁止条約を批准していなかった背景には、イスラエルに対する対抗策としての側面がありました。中東全域のバランスを考慮した場合、未加盟のイスラエルのみが化学兵器を保有している状況は、アラブ諸国にとっては、一方的な攻撃を受けるリスクが高まるからです。結局、化学兵器はシリア国内の内戦に使用され、自国民を殺傷するという悲劇を生んだのですが、イスラエルもまた、化学兵器禁止条約に加盟するとなりますと、双方ともが、化学兵器を放棄することになり、イスラエルとアラブ諸国間のバランスは維持されます。実のところ、利己的な行動が目立つイスラエルが、相互主義に基づく行動をとろうとするとは予想外の展開であり、ペレス大統領の発言が事実であれば、中東和平にとりましても朗報となりそうです。そして、この行動は、残るミャンマー、アンゴラ、エジプト、南スーダン、そして、北朝鮮に対する加盟に向けての強力な圧力となるかもしれません。

 イスラエルの化学兵器禁止条約の加盟は、良い意味で、世界を変える可能性を秘めていると思うのです。

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コメント (2)
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