万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

フランス・テロ事件-移民によって持ち込まれる国外対立

2015年01月11日 15時43分09秒 | 国際政治
仏からの移住歓迎=欧州の「反ユダヤ」受け呼び掛け―イスラエル首相(時事通信) - goo ニュース
 フランスで起きた忌まわしいテロ事件は、フランス国内の民族・宗教・思想グループに微妙な変化をもたらしているようです。イスラム過激派の犯行であったため、反イスラムの世論が強まるのみならず、ユダヤ人もまた、危機感を抱き、イスラエルへの移住が増加しているというのです。

 今回の事件で、イスラム過激派のテロリスト達は、人質を取るに当たって敢えてユダヤ人を選んだ理由は、犠牲になられた風刺画家のステファン・シャルボニエ氏がユダヤ人であったのかは分からないのですが、おそらく、一般のフランス人に対して直接に危害を加えることを躊躇したからではないかと憶測されます。仮に、ユダヤ人経営の人商店ではなく、一般のフランス人経営の商店であったならば、今以上にフランス人、あるいは、キリスト教徒対イスラム教徒との対立が激化したことでしょう。この事件は、もう一つの移民の問題点として、移民の増加が、国外の対立を国内にもたらすという側面を示しています。中東におけるユダヤ対イスラムの対立は、双方の住民が多数居住するヨーロッパにおいても、深刻な社会的な亀裂として表面化するのです。歴史的には、反ユダヤ主義の流れはあったものの、一般のフランス人にとりましては、自らとは直接に関係のない対立にも巻き込まれることになるのです。

 こうした国外対立の国内対立化は、フランスに限られた現象ではなく、例えば、日本国内でも謎多き事件の背景には、朝鮮半島における南北両国の対立があるとも指摘されております。移民政策は、経済的な側面ばかりが強調され、肯定的な見解も見受けられますが、政治的、並びに、社会的なリスクを無視してはならないと思うのです。

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コメント (2)
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