万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

「慰安婦」交渉加速-日本国の名誉は回復されるのか?

2015年11月02日 15時24分17秒 | アジア
「慰安婦」交渉を加速=日韓首脳、関係改善で一致
 日韓首脳会談を前にして、安倍首相に対し、韓国側は、慰安婦問題に関する謝罪を求めたと報じられております。謝罪は拒否したものの、当会談では、慰安婦問題について交渉を加速することで両首脳が合意したとも伝わります。

 慰安婦交渉の内容とは、法的には1965年の「日韓請求権協定」で解決しているものの、人道的な配慮から日本国政府が、韓国人元慰安婦に対して何らかの支援策を実施するというもののようです。しかしながら、この”解決方法”では、日本国の名誉が傷つけられたままとなる可能性があります。何故ならば、史実を有耶無耶にしたまま、政治的妥協によって解決を図りますと、”政治的フィクション”が事実として固定化してしまう恐れがあるからです。河野談話も、虚実が入り混じった政治的妥協でしたが、少なくとも、占領地でもない朝鮮半島における”日本軍20万人朝鮮人女性強制連行説”は事実ではありません。朝鮮半島で起きた人道的問題とは、その殆どが朝鮮人慰安所事業者による募集時における”人身売買”なのです。しかも、慰安所は、募集時の経緯がどうあれ、衛生管理等から軍の監督を受けており、慰安婦にも比較的高いレベルの給与も支払われておりました。仮に、慰安所において”性奴隷”状態があったとすれば、それは、事業者による違法行為なのです。人道的支援とするならば、それは、あくまでも”人身売買”といった犯罪の被害者に対する特別の救済であり、1995年に設立した”アジア女性基金”と同質のものです。日本国内でさえ、犯罪被害者支援法が成立したのは2004年のことですので、日本国政府は、自国民より先に、アジア諸国の戦時犯罪被害者に対して救済の手を差し伸べているのです。この時、韓国の元慰安婦達の多くは、見舞金の受け取りを拒否しましたが、”アジア女性基金”の設立に際しても史実を曖昧にしたため、名誉が回復されるどころか、日本国は、その後も、韓国の国際的な”慰安婦プロパガンダ”に苦しめられることになりました。今般の”解決”も、厳正な史実の検証と確認を伴わないとなりますと、同じ誤りを繰り返すことになります。

 韓国側は、韓国人元慰安婦の名誉回復には熱心ですが、日本国に対する名誉棄損については、どのように対処するつもりなのでしょうか。少なくとも、内外の慰安婦像の完全撤去、米教科書出版社への記事訂正の申し入れ、韓国教科書の記述削除、国際プロパガンダの中止、並びに、日本国に対する真摯な謝罪がない限り、日本国民が納得するとは思えません。日本国の不名誉だけが歴史に刻まれるような政治的妥協は、日本国の国民感情が許さないのではないかと思うのです。

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コメント (2)
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