サイバー攻撃で初の閣僚対話=中国公安相が訪米
マイケル・ピルズベリー氏の『China 2049』は、中国経済が、かくも急激な経済成長を遂げ、かつ、国際経済に浸透していったのか、という謎に応えるものでもありました。そして、この著作から浮かび上がってくるのは、影の指南役としての世界銀行の存在です。
世界銀行は、第二次世界大戦末の1944年7月に締結されたブレトンウッズ協定に基づいて設立された国際機関です。当初は、戦後復興の支援を主たる目的としていましたが、今日では、幅広い分野で発展途上国の開発を財政面から支える役割を担っています。世銀は、ソ連邦が出資を拒否したこともあって、とりわけアメリカ色が強く、歴代の総裁はアメリカ出身者が務める慣例が今日まで踏襲されてきました(IMFは欧州諸国出身者…)。この側面からしますと、世銀の活動に関する一般的なイメージは、発展途上国の経済成長を促すと共に、自由主義経済を拡大することと理解されがちです。ところが、『China 2049』を読みますと、このイメージは見事なまでに打ち砕かれます。何故ならば、1980年代中頃から世銀のチームは中国の先進国化の検討を開始し、その後、経済アドヴァイザーとして北京に”最大の代表団”を派遣しているからです。中国側も、世銀のエコノミストの指南に忠実に従い、経済政策を実施したそうです。この事実は、中国の指導者達によって隠されてきたため、中国国民にも殆ど知られていません。さらに信じ難い事実は、世銀は、中国の国営企業の存続を認めた上で、「ナショナル・チャンピオン」システムを始動させたというのです。つまり、政策的な合併等を通して巨大な国営企業を育成し、市場を独占、あるいは、寡占化させることで、共産党支配下の中国企業を”グローバル企業”に育て上げたのです(2010年には、フォーチュン・グローバル企業500に50社を掲載させることに成功…)。政府系企業の株式を一部公開する政策を実施しつつも、世銀と中国がタッグを組んだ政策が、共産党に巨大な利権を集中させたことは否めません。そして、今日、政府系「ナショナル・チャンピオン」企業の採算性を度外視した量産がグローバル市場に価格破壊と貿易の不均衡をもたらし、凄まじい環境汚染が、中国大陸のみならず、地球規模で人類に脅威を与えていることを考慮しますと、この時の世銀の判断が正しかったのか、大いに疑問なところです。経済力は軍事力増強へと直結し、今日では、中国は、周辺諸国の安全を脅かすに留まらず、国際社会を暴力が支配する世界に引き戻そうとしています。
国際経済もまた、市場経済の基本原則の一つである”自由で公正な競争”を旨としていますが、国際機関である世銀が中国に特別待遇を与え、WTO等の貿易ルール違反に目を瞑るほどの肩入れをしたことは、他の諸国にとりましては承服しかねることです。現在、IMFでも人民元の国際基軸通貨化に加担する動きが見られ、AIIBに欧州諸国の多数が参加した背景にも、あるいは、世銀にも通じる何らかの”国際金融勢力”の思惑が蠢いているのかもしれません。『China 2049』は、中国の経済大国化の裏を明かしたことにおいも、近年稀にみるリーク本ではなかったかと思うのです。
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マイケル・ピルズベリー氏の『China 2049』は、中国経済が、かくも急激な経済成長を遂げ、かつ、国際経済に浸透していったのか、という謎に応えるものでもありました。そして、この著作から浮かび上がってくるのは、影の指南役としての世界銀行の存在です。
世界銀行は、第二次世界大戦末の1944年7月に締結されたブレトンウッズ協定に基づいて設立された国際機関です。当初は、戦後復興の支援を主たる目的としていましたが、今日では、幅広い分野で発展途上国の開発を財政面から支える役割を担っています。世銀は、ソ連邦が出資を拒否したこともあって、とりわけアメリカ色が強く、歴代の総裁はアメリカ出身者が務める慣例が今日まで踏襲されてきました(IMFは欧州諸国出身者…)。この側面からしますと、世銀の活動に関する一般的なイメージは、発展途上国の経済成長を促すと共に、自由主義経済を拡大することと理解されがちです。ところが、『China 2049』を読みますと、このイメージは見事なまでに打ち砕かれます。何故ならば、1980年代中頃から世銀のチームは中国の先進国化の検討を開始し、その後、経済アドヴァイザーとして北京に”最大の代表団”を派遣しているからです。中国側も、世銀のエコノミストの指南に忠実に従い、経済政策を実施したそうです。この事実は、中国の指導者達によって隠されてきたため、中国国民にも殆ど知られていません。さらに信じ難い事実は、世銀は、中国の国営企業の存続を認めた上で、「ナショナル・チャンピオン」システムを始動させたというのです。つまり、政策的な合併等を通して巨大な国営企業を育成し、市場を独占、あるいは、寡占化させることで、共産党支配下の中国企業を”グローバル企業”に育て上げたのです(2010年には、フォーチュン・グローバル企業500に50社を掲載させることに成功…)。政府系企業の株式を一部公開する政策を実施しつつも、世銀と中国がタッグを組んだ政策が、共産党に巨大な利権を集中させたことは否めません。そして、今日、政府系「ナショナル・チャンピオン」企業の採算性を度外視した量産がグローバル市場に価格破壊と貿易の不均衡をもたらし、凄まじい環境汚染が、中国大陸のみならず、地球規模で人類に脅威を与えていることを考慮しますと、この時の世銀の判断が正しかったのか、大いに疑問なところです。経済力は軍事力増強へと直結し、今日では、中国は、周辺諸国の安全を脅かすに留まらず、国際社会を暴力が支配する世界に引き戻そうとしています。
国際経済もまた、市場経済の基本原則の一つである”自由で公正な競争”を旨としていますが、国際機関である世銀が中国に特別待遇を与え、WTO等の貿易ルール違反に目を瞑るほどの肩入れをしたことは、他の諸国にとりましては承服しかねることです。現在、IMFでも人民元の国際基軸通貨化に加担する動きが見られ、AIIBに欧州諸国の多数が参加した背景にも、あるいは、世銀にも通じる何らかの”国際金融勢力”の思惑が蠢いているのかもしれません。『China 2049』は、中国の経済大国化の裏を明かしたことにおいも、近年稀にみるリーク本ではなかったかと思うのです。
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