万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

NYタイムズの沖縄報道-情報源はどこなのか?

2015年11月09日 14時51分18秒 | 国際政治
NYタイムズ「日米政府の民主主義が試されている」
 沖縄二紙が報じたところによりますと、ニューヨークタイムズの国際版に、辺野古への移設に関して日米両政府を批判する記事が掲載されたそうです。民主主義を蔑にしているとして…。

 この記事を読んだ読者は、日米両政府に対して、あたかも弾圧国家のような印象を受けるのではないでしょうか。当記事は、日米両政府が、沖縄県民の意向を無視し、反対デモを警察力で排除しながら基地移転を強引に進めていると記しています。県知事や市長の言葉を借りながらも、日本国政府の措置を”無法”と非難し、沖縄県民の権利を侵害しているとまで息巻いているのです。この記事の内容から判断しますと、この記事を書いた記者は、少なくとも、(1)普天間基地の辺野古への移設は、騒音対策として県民の要求に応えた計画であること、(2)基地移設反対運動に本土の左翼系団体構成員、並びに、中国や韓国といった外国の活動家が多数参加していること、(3)沖縄県民の民意が辺野古基地建設反対一辺倒ではないこと、(4)日本国政府は法律に従って対処し、行政訴訟での解決を試みていること、(5)扇長知事が中国との間に私的なコネクションがあること、(6)近年、沖縄において中国の領土的野心と連動しながら独立煽動活動が展開されていること…といった、事実を掴んでいないと推測されます。しかしながら、こうした情報は、証拠付で誰もがネットで簡単に入手でき、日本国内では殆ど常識と化していますので、大新聞の記者としては、収集情報の乏しさが不自然過ぎます。そこで思い起こされるのは、扇長知事が9月22日に国連人権委員会で行った演説です。当記事の論調と知事の演説の内容が、極めてよく似通っているです。となりますと、このNYタイムズの記事は、扇長知事、並びに、その支持母体を唯一の情報源として書かれており、かつ、中国サイドや共産主義勢力が関与する政治的プロパガンダではないか、とする疑いが浮かんできます。

 当記事は、結局のところ、”平和や人権、民主主義を順守する国家”を称しながら日米両政府は、その逆の行動をとっていると言いたいのでしょう。これらの価値を逆手に取った批判と言えます。しかしながら、辺野古基地の建設は、沖縄防衛を目的としておりますので、平和に反するものでもなく、また、万が一にも沖縄が中国に併合されるような事態に至れば、人権も民主主義も消え失せることは確かなことです。辺野古への基地移設を含む沖縄防衛の強化は、沖縄県民のために平和、人権、民主主義といった価値を護るためにこそあるのではないでしょうか。

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コメント (4)
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